【言葉】
やるせない
「遣る瀬無い」と表記する。
【意味】①思いを晴らすすべがない。せつない。
②施すすべがない。どうしようもない。
③気持ちに余裕がない。
【語源・由来】
「遣る瀬無い」から。「遣る」「瀬」が「無い」の意で、行く浅瀬が無い、憂さを晴らす、気を晴らす機会がないという意味で使われる。
【類義語】
・苦しい
・辛い
・切ない
・たまらない
「やるせない」の使い方
健太くん。大丈夫?
恩師を亡くしたばかりでやるせないよ。
泣いてばかりいると先生が心配して成仏できないわよ。
そうだよね。頑張って今度の大会で優勝して安心させてあげたいな。
「やるせない」の例文
- 自分だけ一人とりのこされたように、やるせない孤独を感じたのである。(坂口安吾 吝嗇神の宿)
- そのくせその態度は反対にますます頼りなげなやるせないものになっていた。(有島武郎 或る女)
- しかし弟の眼は病気の仔牛の眼のようにやるせない悲しみをうかべているのだ。(大江健三郎 死者の奢り 飼育)
- 伝統芸能の家系に生まれ、男子じゃないと祝福されない環境で、彼女はやるせない気持ちを抱く。
- 妹が生まれ、両親が奪われたようでやるせない。
「やるせない」と「いたたまれない」の違いは?
「やるせない」に似ている語に「いたたまれない」があります。
「いたたまれない」とは、「それ以上その場所にとどまっていられない。また、それ以上がまんできない。いたたまらない。」という意味です。
「やるせない」も「いたたまれない」も、「やるせない気持ち」「いたたまれない気持ち」というように、似たような使い方をされます。
しかし「やるせない」は、「思いを晴らすすべがない。どうしようもない。」という意味です。
対して「いたたまれない」は、我慢できないことをいいます。