【言葉】
訝しい
【読み方】
いぶかしい
【意味】
①気掛かりである。
②知りたい。見たい。聞きたい。
③不審に思われる。うたがわしい。
【類義語】
・胡散臭い
・卑猥
「訝しい」の使い方
「訝しい」の例文
- あの一件を広居が知らなかったということはあるまい、と治憲は訝しんだ。(藤沢周平 漆の実のみのる国 下)
- 同じ車両の端に乗っていた釣り客らしい中年の男が、荷物をまとめながらこちらを見ていた。あの三人組は何が目的なのだろう、と訝しんでいるのかもしれない。(有栖川有栖 朱色の研究)
- 健太くんが、これは罠ではないかと訝しんでいる。
- なぜこんな命令に従わなければならないのかと訝しく思いながらも、つい従った。(川上弘美 蛇を踏む)
- 健太くんが礼儀正しく振る舞うことができるのか訝しく思った。
「訝しい」と「おかしい」「怪しい」「疑わしい」との違いは?
「訝しい」に似ている語に「おかしい」「怪しい(あやしい)」「疑わしい(うたがわしい)」があります。
「訝しい」と「おかしい」の違いは?
「おかしい」とは、
①笑いを誘われるようなさま。
㋐こっけいである。つい笑いたくなる感じである。おろかしい。
㋑変だ。変わっている。いぶかしい。あやしい。
㋒粗末である。みすぼらしい。
②物事を観照し評価する気持ちで「あはれ」が感傷性を含むのに対して、より客観的に賛美する感情。
㋐心ひかれる気がする。好ましい感じである。
㋑おもしろい。興味がある。
㋒趣がある。風情がある。風流だ。
㋓かわいらしく愛すべきである。美しくて魅力がある。
㋔すぐれている。みごとだ。
という意味です。
「訝しい」も「おかしい」も、何か変だと不審に思う気持ちが同じです。
しかし「訝しい」には、「気掛かりである。知りたい。見たい。聞きたい。」という意味がある点が「おかしい」とは違います。
また「おかしい」には、「訝しい」と異なる意味が多くありますが、日常会話で、滑稽だという意味で使われることが多いです。
「訝しい」と「怪しい」の違いは?
「怪しい」とは、
①霊妙である。普通でなくひきつけられる。
②常と異なる。めずらしい。
③いぶかしい。疑わしい。
④あるべきでない。けしからぬ。
⑤(貴人・都人から見て不思議な、あるべくもない姿をしている意)卑しい。身分が低い。粗末である。
⑥得体が知れない。不気味である。
⑦なにかいわくがありそうである。男女間に秘密の関係があるらしいの意にも使う。
⑧あてにならない。悪い状態に向かいそうである。
という意味です。
「訝しい」も「怪しい」も、疑わしいという意味が同じです。
しかし「訝しい」は、何らかの根拠があって確かではない、疑わざるをえないという判断を示すことをいいます。
対して「怪しい」は、得体が知れず不気味で信用できないという、受け取り手の気持ちをいいます。
「訝しい」と「疑わしい」の違いは?
「疑わしい」
①本当かどうか分からない。
②おぼつかない。不確実だ。
③あやしい。不審である。
という意味です。
「訝しい」も「疑わしい」も、不審であるという意味が同じです。
しかし「訝しい」は、真相がわからず、そのために知りたいと感じるさまをいいます。
対して「疑わしい」は、正体や真相がわからないことをいい、「訝しい」のような知りたいという意味はありません。