【言葉】
奉る
【読み方】
たてまつる
【意味】
①さしあげる。献上する。人を参上させる。
②動詞の連用形に付いて、その動作を行う主体が動作の及ぶ主体より下位であることを表す謙譲語。・・・し申し上げる。
③「乗せ奉る」「着せ奉る」などの上の動詞を略していう慣用的な言い方。
【類義語】
・献納
・贈呈
・供物
・供える
「奉る」の使い方
これから神前に供物を奉るのよ。
供物って何?もしかして生きている動物?
何かの儀式じゃないんだから、果物やお米よ。
生贄じゃなくて安心したよ。
「奉る」の例文
- 京都で最初の上書を奉ったとき、おれは黙って眺めていてくれと頼んだ。(藤沢周平 回天の門)
- その彼を君などと奉っていちゃ、誰よりも彼にすまないかも知れない。(芥川龍之介 上海游記)
- 樹の枝はみな生物のように垂れてその美しい果実を王子たちに奉った。(宮沢賢治 学者アラムハラドの見た着物)
- 私はむろん役所の連中をすべて誰彼の別なく憎み、かつ軽蔑していたが、同時にまた彼らを恐れてもいるかのようだった。時によると不意に彼らを自分より上に奉ってしまうことさえあった。(ドストエフスキー 地下生活者の手記)
- 産養の三日の夜は父宮のお催しで、五日には右大将から産養を奉った。(与謝野晶子 源氏物語)
「奉る」と「祀る」の違いは?
「奉る」に似ている語に「祀る(まつる)」があります。
「祀る」とは、「祭る」と同語源で、
①供物・奏楽などをして神霊を慰め、祈願する。
②神としてあがめ、一定の場所に鎮め奉る。奉祀する。
③祈禱する。
という意味です。
「奉る」は、「さしあげる。・・・申し上げる。」という謙譲語として使われます。
対して「祀る」は、神霊を慰め、あがめることをいいます。