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「遺漏」と「慰労」の違い・使い分け!「いろう」の同音異義語

同音異義語とは、発音は同じでも意味が異なる単語のことです。

これらの言葉は多くの言語に存在し、日本語においても例外ではありません。

同音異義語は、言語の多様性と進化の証であり、時には混乱を招くこともあります。

この記事では、遺漏」と「慰労」の意味の違いや文脈に応じた使い分けについてわかりやすく解説します。

同音異義語の理解を深めることで、言語の微妙なニュアンスをより豊かに感じ取ることができるでしょう。

遺漏(いろう)の意味と使い方や例文

遺漏(いろう)をイメージしたイラスト
遺漏 必要なことが抜け落ちること、手抜かりや手落ちを指す。
  • 「万遺漏なきを期す」
  • 「万遺漏なきよう努める」
  • 遺漏のないように記入する」
意味

遺漏とは、必要なことや物が漏れ落ちてしまうこと、つまり忘れ去られたり見落とされたりする状況を指します。これは、注意や処理が十分になされなかった結果生じる手抜かりや手落ちのことを言います。

例えば、文書やリストから大切な項目を忘れてしまう、あるべき措置や対策を講じ忘れるといった場面で用いられます。遺漏は、細部にわたる注意を払い、何も見落とすことなく完璧を目指す際に、その達成が困難であることを示す言葉としても使用されます。

そのため、文脈に応じて「遺漏なく」という形で、何も漏れないように細心の注意を払うべきだという意志や努力を表現するのに使われることもあります。

例文

 

  1. プロジェクトの計画書を提出する前に、万遺漏なきを期して最終確認を行った。
  2. 調査報告書に万遺漏なきよう努めるため、データを再度精査しました。
  3. アンケートには遺漏のないように記入してください。不完全な情報は分析に影響します。

慰労(いろう)の意味と使い方や例文

慰労(いろう)をイメージしたイラスト
慰労 苦労をねぎらい慰めること。
  • 「選手を慰労する」
  • 慰労会」
  • 「奔走してくれた人々を慰労する」
  • 「功労者を慰労する」
  • 「試合のあとで選手たちを慰労する」
意味

慰労という言葉は、人が何か困難なことや努力をした後に、その苦労や骨折りを認め、感謝や労りの気持ちを示す行動や言葉のことを指します。

具体的には、苦労した人を慰めたり、その労力をねぎらうことを意味しています。例えば、スポーツ選手が試合で頑張った後に行われる慰労会や、長期間にわたってプロジェクトに取り組んだチームメンバーを労う行為などがこれにあたります。

慰労は、人の努力や成果を認め、敬うことで、相手を精神的に支え、モチベーションの向上にも繋がる大切なコミュニケーションの一形態です。

例文

  1. プロジェクトの成功を祝して、チーム全員を慰労するためのパーティーが開催された。
  2. 年末に、社員たちの一年間の努力を慰労するためのディナーが用意された。
  3. ボランティアで活動してくれた学生たちを慰労するため、学校から感謝状と小さなギフトが贈られた。
  4. 長時間の議論に参加したメンバーを慰労するため、会議後にはケーキとコーヒーが提供された。
  5. 災害復旧作業に尽力したスタッフを慰労するため、地域コミュニティから温かい言葉と共に食事が提供された。

「遺漏」と「慰労」の違い・使い分け

同音異義語の違い・使い分け

「遺漏」と「慰労」は、全く異なる意味を持つ用語です。

遺漏とは、何か必要なことや物が漏れ落ちてしまう状況、つまり忘れ去られたり見落とされたりすることを指します。これは注意や処理が不十分だった結果、生じる手抜かりや手落ちを意味します。

例えば、文書やリストから大切な項目を忘れる、必要な措置を講じ忘れるなどが遺漏の例です。遺漏は、細部にわたる注意を払い、何も見落とすことなく完璧を目指す際に発生する可能性があります。

一方、慰労は、困難なことや努力をした人の苦労や骨折りを認め、感謝や労りの気持ちを示す行動や言葉を指します。

これは、例えば、プロジェクトの成功を祝ってチーム全員を慰労するパーティーや、一年間の努力を慰労するためのディナーなど、人々の労力をねぎらうための具体的な行為を含みます。

慰労は、人の努力や成果を認め、敬うことで、精神的な支援やモチベーションの向上につながるコミュニケーションです。

二字熟語の博士
つまり、「遺漏」は注意が欠けた結果生じる漏れや忘れを、一方「慰労」は努力や苦労に対する感謝と認識を表す言葉です。
助手ねこ
これらは異なる文脈で使用され、異なる意味合いを持っているんやで。
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北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)



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