「二字熟語の百科事典」が書籍化されました!詳細はコチラ

「一件」と「一見」の違い・使い分け!「いっけん」の同音異義語

「いっけん」の同音異義語

同音異義語とは、発音は同じでも意味が異なる単語のことです。

これらの言葉は多くの言語に存在し、日本語においても例外ではありません。

同音異義語は、言語の多様性と進化の証であり、時には混乱を招くこともあります。

この記事では、一件」と「一見」の意味の違いや文脈に応じた使い分けについてわかりやすく解説します。

同音異義語の理解を深めることで、言語の微妙なニュアンスをより豊かに感じ取ることができるでしょう。

一件(いっけん)の意味と使い方や例文

一件(いっけん)をイメージしたイラスト
一件 一つの事柄や事件を指し、話題になっている具体的な事例や、遠回しに示す事柄を意味する。
  • 「問題を一件ずつ処理する」
  • 一件落着」
  • 「あの一件以来,すっかり客足が落ちた」
  • 「きのうの一件には触れないでおく」
  • 「申し込みは一件もない」
  • 「話が社長解任の一件に及ぶ」
  • 「昨日の一件は解決した」
意味

一件という言葉は、主に二つの意味合いで使われます。第一に、それは「一つの事柄」または「一つの事件」として、個々の出来事や案件を指し示す際に使用されます。例えば、問題を一つずつ解決する場合や、特定の事件や事象を数える際に一件と表現します。

第二に、一件は、特定の事柄や事件を遠回しにまたは間接的に言及する際にも使われます。これは、「あのこと」や「例のこと」といった形で、既に知られている事柄や話題となっている事件を指す場合に用いられます。この意味での一件は、話者と聞き手の間で共有されている背景知識や前提に基づいて、特定の事象を指しています。

例文

  1. 新しいプロジェクトの提案を一件ずつ検討しましょう。
  2. その不正操作の一件落着後、会社の信用は大きく損なわれました。
  3. あの一件以来、彼はもう会議に顔を出していません。
  4. きのうの一件には触れないでおく方が、彼のためにも良いでしょう。
  5. このキャンペーンに対する申し込みは一件もないのが現状です。
  6. 話が社長解任の一件に及ぶと、部屋の空気が一変しました。
  7. 昨日の一件は解決したので、今は前を向いて進むしかありません。

一見(いっけん)の意味と使い方や例文

一見(いっけん)をイメージしたイラスト
一見 一度見ること、ちょっと見ること、またはちょっと見たところや初対面を意味し、副詞的にも用いられる。
  • 一見に値する」
  • 「百聞は一見に如かず」
  • 一見紳士風」
  • 一見の価値がある庭園」
  • 一見して強そうな男」
  • 一見して偽物にせものとわかる」
  • 「書状を一見しただけで破り捨てた」
  • 一見気が弱そうな人だ」
  • 一見に値する」
  • 「百聞は一見に如(し)かず」
  • 一見して事の重大さを悟った」
  • 一見まじめそうな人」
  • 一見ながら武士の役、見殺しにはなりがたし」
意味

一見という言葉には、主に次のような意味が含まれます。まず、それは「一度見ること」を意味し、何かをひととおり目を通す行為を指します。これは物事や人を初めて見ることを示すこともありますし、状況や対象物を大まかに確認することも含まれます。次に、「ちょっと見ること」も指し、これは非常に短時間で物事を見ることを意味します。この意味では、深い分析や詳細な調査を伴わず、表面的な観察や確認にとどまります。

また、一見は副詞的にも用いられ、「ちょっと見たところ」や「ちょっと見た感じでは」という意味で使われます。この用法では、初めての印象や浅い観察に基づく見解や評価を表します。例えば、「一見紳士風」は初見で紳士のように見えるが、それが本質的な特徴かどうかは別としていることを示します。

要するに、一見という言葉は、一度や簡単に何かを見る行為やその際の印象を指し、その使用は文脈によって多少の違いがあるものの、基本的には「見る」という行為の初期的、表面的な段階を表しています。

例文

  1. この美術館は一見に値する。
  2. 彼の作品は百聞は一見に如かずと言われている。
  3. その男性は一見紳士風に見えるが、実際はどうだろう
  4. この庭園は一見の価値があると評判だ。
  5. 彼は一見して強そうな男だが、心は優しい。
  6. そのバッグは一見して偽物だとわかる
  7. 彼女は手紙を一見しただけで破り捨てた。
  8. 彼は一見気が弱そうに見えるが、意外と度胸がある。
  9. その古城は一見に値する美しさを持っている。
  10. その問題は一見して事の重大さを悟った。
  11. 彼は一見まじめそうな人だが、実はとてもユーモアがある。
  12. 一見ながら、その武士は役目を全うしようと決心した。
  13. その映画は一見してストーリーの深さが伝わる。

「一件」と「一見」の違い・使い分け

同音異義語の違い・使い分け

「一件」と「一見」は日本語の表現で、異なる意味と用途を持ちます。

一件は、「一つの事柄」または「一つの事件」を指す言葉です。これは個別の出来事や案件を具体的に指し示す際に使用されます。例えば、特定の事件や事象を数える時や、何か特定の事柄を遠回しに言及する時に用います。

一件は、具体的な事例や特定の話題になっている事象を指すことが多く、その事例や事象の特定性や個別性を強調します。

一見は、「一度見ること」や「ちょっと見ること」を意味し、副詞的にも用いられます。これは物事や人を初めて見ることや、状況や対象物を大まかに確認することを指します。

また、「ちょっと見たところ」や「初対面」の印象を示す際にも使われることがあります。一見は、初めての印象や浅い観察に基づく見解や評価を表すことが多いです。

二字熟語の博士
要するに、一件は具体的な事柄や事件を指すのに対し、一見は何かを一度や簡単に見る行為やその際の印象を指します。
助手ねこ
一件は具体性や特定性を強調し、一見は初期的、表面的な観察や印象を表す言葉として使われるんやな。
ABOUT US
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)



error: 右クリックはできません。