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「契機」の意味と使い方や例文!「きっかけ」との違いは?(語源由来・類義語)

契機の読み方・意味とは?(語源由来・類義語)

意味

【二字熟語】
契機

【読み方】
けいき

【意味】
①きっかけ。動機。
②ヘーゲルの弁証法の用語。全体を構成するために不可欠な要素。また、事物の動的過程において、その変化・発展を規定する本質的・必然的な通過段階。

二字熟語の博士
「契機」という言葉には、大きく分けて二つの意味があるんだ。まず、一つ目は日常でよく使われる意味で、何かを始めるための「きっかけ」や「動機」を指すんだよ。何か新しい行動を起こすときのスタートの瞬間や、それを動かす理由のこと。

そして二つ目は、哲学、特にヘーゲルの弁証法で使われる専門的な用語なんだ。こちらは、全体の中で不可欠な要素、つまり事物の変化や発展を規定する本質的で必然的な通過段階のことを指しているんだね。

助手ねこ
へぇ、そうなんや。契機って言葉、普通には「何か始めるきっかけ」みたいな意味で使われるんやな。例えば、新しい趣味を始める契機とか、仕事を変える契機みたいな感じでな。

でも、ヘーゲルの弁証法とかいう話になると、何か大事な物事が変わるときの、その変化や成長を決めるような大切な段階のことを言うんやね。哲学的やな〜、なんか難しいけど、考えさせられる言葉やね。

【語源・由来】
ヘーゲルの用語。Moment(ドイツ語)の訳語。

【類義語】
機会、好機、転機

契機(けいき)の解説

カンタン!解説
解説

「契機」という言葉は、2つの意味があるんだよ。

まず1つ目は、「きっかけ」や「動機」という意味。これは何か新しいことを始めるときの引き金になるもの、つまり、新しい行動や変化を起こすための原因や理由を指すんだ。たとえば、「失敗を契機に体制を立て直す」というのでは、「失敗」という出来事がきっかけとなって、物事を改善するための新しい手段や方法を考え出すことを意味しているんだよ。

2つ目の意味は、哲学者ヘーゲルの弁証法における用語で、「全体を構成するために不可欠な要素」や「事物の動的過程において、その変化・発展を規定する本質的・必然的な通過段階」とされているんだ。これは、全体の中の一部分がどう重要な役割を果たしているか、または物事がどのように発展していく過程でどんな段階を経るかを説明するために使われる言葉なんだよ。例えば、木が成長するとき、種が芽を出す瞬間があるよね。この「種が芽を出す瞬間」が、木の成長過程における「契機」と言えるんだ。

だから、「契機」という言葉は、一つは日常生活でよく使われる「きっかけ」や「動機」としての意味があり、もう一つは、もっと深い哲学的な概念として、物事の発展や変化における重要な段階や要素を表すために使われるんだね。

契機(けいき)の使い方

ともこ
感染症蔓延を契機に、働き方改革をする会社が増えたわよね。
健太
感染症蔓延を契機に、日本が真っ二つに分かれることになった気がするけどね。
ともこ
感染症は大したことない派と重病派に分かれたから?
健太
格差社会も加速したし、日本の良さが失われていっているのを感じるよ。

契機(けいき)の例文

例文
  1. この日の出会いが契機となって、健太くんは芸人を志すことになった。
  2. 財布を拾ったのを契機にともこちゃんと仲良くなった。
  3. このドラマへの出演を契機にスターへの階段を駆け上がった。
  4. 彼は病気を契機にタバコをやめたそうです。
  5. 言論の弾圧を契機に暴動が起きました。

契機の文学作品などの用例

  1. ・・・等とを決定する重大な契機である。倫理的なるものに反抗し、否定する・・・ 倉田百三学生と教養

  2. ・・・不可離的に感ぜしめる契機はこの選択になくして、かの運命にあるのだ・・・ 倉田百三学生と生活

  3. ・・・、血族的、言的共生を契機とし、共同防敵によって統一され、師長によ・・・ 倉田百三学生と先哲

「契機」と「きっかけ」の違いを解説

契機」に似ている語に「きっかけ」があります。

きっかけ」は、
①物事を始める手がかり。糸口。また、原因や動機。
②歌舞伎などの舞台で、俳優の出入り、音楽・照明の変化などの進行上の合図となる動作やせりふ。
③符号。しるし。
④気勢。心意気。

という意味です。

契機」も「きっかけ」も、物事が起こるときの手掛かり、原因や動機という意味です。

しかし「きっかけ」には、歌舞伎などの舞台用語、符号、しるし、気勢、心意気という意味がある点が違います。

二字熟語の博士
「契機」と「きっかけ」は似ているけれど、ちょっと違うんだよ。「契機」という言葉は、何かを始めるきっかけや、事物が変化する上で重要な段階を示すんだ。特にヘーゲルの弁証法という哲学で使われる時には、事物の発展における必要不可欠な要素、つまり大事な変わり目を表しているんだよ。

一方、「きっかけ」はもっと日常的で、物事を始める最初の一歩や原因を意味する。例えば、新しい趣味を始めたきっかけ、友達になったきっかけなど、生活の中でよく使う言葉だね。また、歌舞伎での俳優の出入りを指示する合図の事や、符号にしるし、それに気勢や心意気を表す意味もあるよ。

助手ねこ
へぇ~、なるほどなぁ。つまり、「契機」って言葉は、なんか新しいことをスタートさせるきっかけやな、それに加えて、物事がえらい変わる時の大事なポイントを指してるんやな。哲学的な話になると、ちょっと難しいけど、要は「大きな変わり目」みたいなもんやろ?

一方で、「きっかけ」はもうちょっと日常的で、新しいことを始める時の小さな動機や手がかりやな。例えば、友達に誘われてジムに行くようになるとか、何かの話を聞いて趣味を始めるとかそんな感じ。それと、歌舞伎の舞台での使い方や、何かの兆しや目印、人のやる気なんかの事も表してるんやな。そんなこと知らんかったわ。ええ勉強になるなぁ。

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北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)



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