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「一念」の意味と使い方や例文!「虚仮の一念」とは?(類義語)

一念の読み方・意味とは?(類義語)

意味

【二字熟語】
一念

【読み方】
いちねん

【意味】
①ひたすら心に深く思いこむこと。また、その心。
②ふと思うこと。
③仏語。
㋐非常に短い時間。瞬間。
㋑一度の念仏。仏の救済を信じて唱えた一声の念仏。

二字熟語の博士
「一念」という言葉は、ひたすらに心に深く思いを込めることを指すんだよ。また、突然思い立つことも「一念」と呼ぶことがあるんだ。

そして、仏教の言葉として使われる場合もあって、そこでは非常に短い時間や、一度の念仏という意味も含まれているんだよ。

助手ねこ
そやな、それは「深く考え込むこと」やな。また、ふと思い立つことも「一念」ていうんやな。仏教の話やと、超短い時間や、一回だけの念仏も「一念」っていうんやな。

ま、宗教の話はちょっと難しいから、今回は「深く思い込むこと」か「ふと思い立つこと」って意味を覚えてくれたらええな。

【語源・由来】
「一」は「ひとつ。」
「念」は「いちずに思いをこめる。」

【類義語】
専念、一途、一心

一念(いちねん)の解説

カンタン!解説
解説

「一念」っていう言葉はね、いくつかの意味があるんだよ。

1つ目の意味は、心から深く思い込むこと、それをずっと考えていることを言うんだ。「親の一念が通じる」っていう表現では、親が一心に願って、その思いが結果につながる、つまり願いが叶うという意味になるよ。

2つ目の意味は、ふと思うこと、突然浮かんだ考えや気づきを指すんだ。「一念なりとも悔ゆる心を発 (おこ) すべきなり」〈発心集・五〉というのは、ふとした瞬間に後悔する心が生まれるべきだ、という意味になるんだよ。

3つ目の意味は、仏教用語として使われていて、一瞬、短い時間を指すんだ。「ただ今の一念、空しく過ぐる事を」〈徒然・一〇八〉という表現では、今この瞬間を無駄に過ごすことを言っているよ。

その他にも、「一念」は一度唱えた念仏を指すこともあるんだ。「臨終の一念は百年の業に勝る」〈往生要集・中〉というのは、死ぬ直前に一度だけでも心から唱える念仏は、100年間積み重ねてきた行いよりも価値がある、という意味になるよ。

だから、「一念」っていう言葉は、心の中の強い思い、ふとした考え、一瞬の時間、一度だけの念仏という、いくつかの違う意味で使われるんだね。

一念(いちねん)の使い方

健太
この学校に入学したいな。
ともこ
入学すればいいじゃないの。
健太
僕の成績では無理だよ。
ともこ
一念に徹すれば、思い通りになるわよ。

一念(いちねん)の例文

例文
  1. 人間の一念というものは、時間がかかってもいつかは成就するものだ。
  2. 一念発起して食生活を見直し改善することにしました。
  3. 一念通天というが、諦めなければ何とかなる。
  4. ともこちゃんに会いたい一念で、嵐の中を走って来ました。
  5. 息子の病を治してやりたい一念で、骨髄移植に同意した。

一念の文学作品などの用例

  1. ・・・明外になし。唯我等が一念なり。……唯仏法を修行して、今度生死を出・・・ 芥川竜之介俊寛

  2. ・・・恥かしさと死ぬ気の、一念で、突き破ったんでしょうか。細い身体なら・・・ 泉鏡花古狢

  3. ・・・はかえって深くなる。一念深く省作を思うの情は増すことはあるとも減・・・ 伊藤左千夫春の潮

「虚仮の一念」とは?

一念」を用いた表現の一つに「虚仮の一念(こけのいちねん)」があります。

虚仮の一念」とは、「虚仮の一心」ともいい、愚かな者がただ一つの事を心にかけてやりとげようとすることをいいます。

虚仮」は、 「思慮の浅いこと。愚かなこと。また、その人。」という意味です。
虚仮の一念岩をも通す」という表現で、「どんなに愚かな人でも、ただ一つのことを心にかけてやりとげれば、岩をも貫通するような大きな仕事ができる。」という意味で使われます。
二字熟語の博士
「虚仮の一念」、あるいは「虚仮の一心」という表現は、あまり賢くない人が一つのことを強く心に決めて、それを達成しようとする様子を表しているんだ。
助手ねこ
ああ、つまり、「頭があまり良くない人でも、一つのことを頑張り抜く力はある」ってことを言うんやな。

これは、目の前の一つのことに全力を尽くすってことが大切やなってことを教えてくれるんやな。

【例文】

  1. 虚仮の一念で二年間努力し、優勝旗を手にすることができました。
  2. 虚仮の一念でコツコツ続けていたら、賞をとる位に上手になりました。
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北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)



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