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「安全」と「暗然」の違い・使い分け!「あんぜん」の同音異義語

同音異義語とは、発音は同じでも意味が異なる単語のことです。

これらの言葉は多くの言語に存在し、日本語においても例外ではありません。

同音異義語は、言語の多様性と進化の証であり、時には混乱を招くこともあります。

この記事では、安全」と「暗然」の意味の違いや文脈に応じた使い分けについてわかりやすく解説します。

同音異義語の理解を深めることで、言語の微妙なニュアンスをより豊かに感じ取ることができるでしょう。

安全(あんぜん)の意味と使い方や例文

安全(あんぜん)をイメージしたイラスト
安全
安全とは危害や損害を受ける恐れがなく、安心できる状態のこと。
  • 「かの夭逆にをかされて、四海鎮とこしなえにその安全をえず」
  • 「家内安全
  • 「旅の安全を祈る」
  • 安全な場所に隠す」
  • 「生命・財産の安全を保障する」
  • 「念書をとっておいた方が安全だよ」
  • 「家内の安全を祈る」
  • 安全な隠れ家」
  • 「荷物の安全な輸送」
  • 「生命の安全を第一に考える」
  • 安全な場所に避難する」
  • 安全性が高い」
  • 安全運転」
意味

安全という言葉は、人や物が危害や損害を受けるおそれがない状態を指します。この言葉は、危険が存在しない安心できるさまを表現し、生命や財産などが守られていることを意味します。

例えば、家族の無事を願う「家内安全」や、旅行の際に事故やトラブルに遭わないことを祈る「旅の安全を祈る」など、人々の生活の中で安心して生活できることの重要性を示しています。

また、物理的な場所が盗難や破損から守られていることを示す「安全な場所」や、生命の保護を最優先する考え方「生命の安全を第一に考える」など、具体的な状況における安全性の高さを強調します。このように、「安全」は危険からの自由、心配事がない状態、そして保護や予防措置が十分に施されていることを総合的に指す言葉です。

例文

  1. あの地域は自然災害が少なく、住民の生活は常に安全を保たれている。
  2. 新しい機械の操作には、まず安全が確保される必要がある。
  3. この道は夜間でも照明が完備されており、歩行者の安全を守っている。
  4. 子供たちが安全に学校へ通えるように、交通安全対策が強化された。
  5. 食品の製造過程では、消費者の健康を守るために安全基準が厳しく設けられている。
  6. 会社は従業員の職場内での安全を確保するために、定期的な安全教育を実施している。
  7. そのアトラクションは最新の安全技術を導入しており、安心して楽しむことができる。
  8. 災害時の避難経路は、住民の安全な避難を確保するために重要である。
  9. 工事現場では、作業員の安全を守るためにヘルメットの着用が義務付けられている。
  10. この車は最高レベルの安全装備を備えており、運転者と乗員の安全を保護する。
  11. 登山時には、天候の変化に注意し、常に安全を第一に考えるべきだ。
  12. インターネットを使用する際には、個人情報の安全を守るための措置が必要である。
  13. 夜間に一人で外出する場合は、安全なルートを選び、自己防衛のための注意が必要だ。

暗然(あんぜん)の意味と使い方や例文

暗然(あんぜん)をイメージしたイラスト
暗然 暗然は悲しみや絶望によって心が暗くなるさま。 暗然たる面持ち」

暗然とした気分になる」

  • 「沖より来る響,暗然として湧く力」
  • 暗然たる思いに沈む」
  • 暗然として云うべき言葉もなく」
  • 「沖より来る響、暗然として湧く力」
  • 「友の死に暗然として立ち尽くす」
意味

暗然という表現は、主に二つの意味合いで用いられます。一つ目は、文字通りに暗い様子や黒い様子を表すことであり、物理的な明るさや色合いが不足している状況を指します。

二つ目の意味合いは、心情や感情の面で使われ、悲しみや絶望などにより心が重く沈んでいる様子を示します。この場合、外見だけでなく内面的な闇や不明瞭さ、心の動揺や閉塞感を表現するのに用いられます。

具体的な用例としては、「暗然たる面持ち」や「暗然とした気分になる」などがあり、これらは人の表情や心情が暗く沈んでいることを示しています。また、自然現象や状況を表す際にも使われ、「沖より来る響、暗然として湧く力」のように、はっきりしない、暗い、力強いが不明瞭な印象を与える様子を描写しています。

心情に関しては、深い悲しみや失望感からくる内面の暗さや閉塞感を指し、人が途方に暮れたり、言葉を失ったりする深い心の動きを暗示しています。「友の死に暗然として立ち尽くす」では、友人の死に直面して、深い悲しみに覆われ、何も行動できないほど心が重く沈んでいる様子が表されています。

このように「暗然」とは、見た目の暗さや色の黒さだけでなく、人の心が絶望や悲しみで暗く沈んでいる状態を表す表現として用いられます。それは、外的な環境の影響や内面的な感情の動きを通じて、人々の感じる暗さや不透明さを伝えるのに適した言葉です。

例文

  1. 彼女は試験の結果を見て、暗然とした表情になった。
  2. 会議室の空気は、重大な発表があった後、暗然としていた。
  3. 失恋の痛みで、彼は暗然とした日々を過ごしている。
  4. 突然の悪天候で、ピクニックは暗然とした雰囲気に包まれた。
  5. 彼の未来に対する不安は、暗然とした気持ちをさらに深めるだけだった。
  6. 部屋の中は、薄暗く、彼女の心境と同じく暗然としていた。
  7. 昔の栄光を思い出しながら、老人は暗然とした目をしていた。

「安全」と「暗然」の違い・使い分け

同音異義語の違い・使い分け

「安全」と「暗然」は異なる意味を持つ言葉です。

安全は、危害や損害を受ける恐れがない状態を指し、物理的または心理的な安心感や保護の感覚を表します。これは人々の生命、健康、財産などを危険から守ることを意味し、日常生活や職場、交通、旅行などさまざまな場面で重要視されます。

一方で、暗然は、心が悲しみや絶望で暗く沈む様子を表します。この言葉は、深い心の痛みや精神的な重さを感じる状態を示し、外部の環境や出来事が原因で起こる内面的な感情の動揺や閉塞感を伝えるために使われます。

二字熟語の博士
要するに、「安全」は安心と保護の状態を表す言葉なんです。
助手ねこ
暗然」は精神的な苦悩や悲観を表す言葉なんやな。
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北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)



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