【二字熟語】
天籟
風の音の意の漢語的表現。
【読み方】
てんらい
【意味】
①天然に発する響き。風が物に当たって鳴る音など。
②詩文の調子が自然で、すぐれていること。絶妙の詩文。
【語源・由来】
「籟」は「孔(あな)を通じて発する音の意。」
「荘子」斉物論
【類義語】
風の音
天籟(てんらい)の使い方
これは天籟の詩歌だね。
言葉が天から降ってきたのよ。
そういうのって本当にあるんだね。
頭の中に、言葉がふっと浮かんでくるのよ。不思議よね。
天籟(てんらい)の例文
- 優秀賞をとった人の作文は、まさに天籟だ。
- 古今和歌集は天籟の和歌ばかりだ。
- 師の言葉は、天籟のように耳に残っている。
- 天籟は自然が奏でる音楽だ。
- 後世に残る天籟のような詩を生み出したい。
「天籟を聞く」とは?
「天籟」を用いた表現に「天籟を聞く」があります。
「天籟を聞く」は、「荘子」斉物論の一説にある言葉です。
「無心になって、自然の奏でる、万物が奏でる音を聞くこと。」という意味です。
古代中国の学者南郭子綦は、空を仰いで呼吸を整えるうちに、全身から精気がぬけていくようにみえました。弟子の顔成子游がそれを見て驚いていると、南郭子綦は意識を取り戻し、「よく気がついた。今、私は自分を失っていた。お前は人籟を知っていても、地籟を聞いた事は無いだろう。ましてや天籟を聞くことは出来ないだろう。」と話しました。
顔成子游が問うと、
「大地の吐く息、それを風と呼ぶ。」と、風によって奏でられる大自然の響きを説きました。
「地籟は地上の穴が発する音楽、人籟は人が楽器でかなでる音楽。ならば天籟は。」と、顔成子游が尋ねると、
「天籟とは、人籟、地籟を超えた宇宙の音楽。地球上の万物があるがままに調和している姿。自他の区別を超えて空になりきる時、人間は限りない調和の世界に入ることができる。」と説きました。