【隠れての信は現れての徳】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語)

隠れての信は現れての徳

【ことわざ】
隠れての信は現れての徳

【読み方】
かくれてのしんはあらわれてのとく

【意味】
心の中に秘めた信仰には、いつか利益があらわれる。また、人に知られない善行にも、必ずよい報いがあるということ。

ことわざ博士
隠れての信は現れての徳は、内にある誠実な信仰や、人に見せない善い行いが、やがて目に見える形で報われるという考えを表すよ。
助手ねこ
人にほめられるためではなく、見えないところでまじめに信じ、善い行いを積み重ねる場面で用いるニャン。

【類義語】
・隠れたる信あらば顕れたる験(かくれたるしんあらばあらわれたるしるし)
・陰徳あれば陽報あり(いんとくあればようほうあり)

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「隠れての信は現れての徳」の語源・由来

ことわざを深掘り

「隠れての信は現れての徳」は、心の中に秘めた信仰や、人に知られない善行が、やがてよい報いとなってあらわれるという考えを表すことわざです。「信」は信仰や誠実な心を、「徳」はよい報い、または善い行いによって得られる恵みを表しています。

このことわざは、「現れて」を「顕れて」と書く形でも広く用いられます。「現れる」は外に出て見えるようになることを表し、「顕れる」は隠れていたものがはっきり示される意味を含むため、信仰や善行の報いが外へ出るという内容に合う表記です。

もとの考え方に近い古い形として、「隠れたる信あらば顕れたる験」があります。「験(しるし)」は、信仰や祈りの結果としてあらわれる霊験、または目に見える証しを指します。

この「隠れたる信あらば顕れたる験」は、『千種本住吉』(1221年ごろ成立か・鎌倉時代)に古い用例が出てきます。そこでは「かくれたるしんあらばあらはれたるしるしとかや」とあり、ひそかに思い願っていたことが、思いがけずかなう喜びを表す言葉として使われています。

この段階では、「徳」ではなく「験」が使われています。「験」は、信仰の結果として外にあらわれるしるしを表すため、心の中の信が目に見える結果へ変わるという骨組みは、現在のことわざと同じです。

のちに、日蓮の書簡『上野殿御消息(うえのどのごしょうそく)』(1275年・鎌倉時代、日蓮著)には、「かくれての信あれば、あらわれての徳あるなり」とあります。この書簡は、南条時光に宛てられたものとして伝わり、父母への孝、主への忠、友への礼、劣る者への慈悲という四徳を説く中で、この言葉が置かれています。

その文脈では、「主に合って忠あるべし」と述べたあとに、「たとい我が身は失わるとも、主にはかまえてよかれと思うべし」と続きます。つまり、人に見えないところでも誠実に尽くす心があれば、やがて徳としてあらわれるという意味で使われています。

ここでの「隠れての信」は、ただ心の中で信じることだけではありません。人に知られないところで、うしろめたさのない心を守り、相手のためによかれと思って行動する誠実さを含んでいます。

また、「現れての徳」は、内に秘めた信仰や誠実さが、外からも分かるよい結果となってあらわれることを表します。そのため、このことわざは、目立つ善行をほめる言葉ではなく、見えないところでの信や善行を重んじる言葉です。

近い考え方に、「陰徳あれば陽報あり」があります。これは、人に知られずひそかによいことを行っていると、いずれ明らかな形でよい報いを得られるという意味で、『淮南子(えなんじ)』人間訓の「陰徳有る者は、必ず陽報有り」に由来します。

「陰徳あれば陽報あり」は中国古典に由来する故事成語ですが、「隠れての信は現れての徳」は、信仰や善行が報いとしてあらわれるという日本語のことわざとして受け止められてきました。どちらも、人に知られない善さを軽んじないという考えでつながっています。

このことわざは、単に「よいことをすれば必ず得をする」と、損得だけを説く言葉ではありません。人が見ていなくても誠実に信じ、善い行いを続けることには意味があり、その積み重ねはいつか目に見える形であらわれる、という静かな励ましを含んでいます。

「隠れての信は現れての徳」の使い方

健太
昨日の放課後、だれも見ていないのに、ともこちゃんが図書室の本を一冊ずつ元の棚に戻していたね。
ともこ
本が迷子になると、次に読む人が困るからね。先生にほめられなくても、きちんとしておきたいんだ。
健太
隠れての信は現れての徳だね。今日、図書委員の子が、とても助かったって言っていたよ!
ともこ
本当? 見えないところでやったことでも、だれかの役に立つとうれしいね。
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「隠れての信は現れての徳」の例文

例文
  • だれも見ていない廊下のごみを毎朝拾い続けた彼の行いは、隠れての信は現れての徳そのものだった。
  • 祖母は、人に知られなくても善いことを続けなさい、隠れての信は現れての徳と言っていた。
  • 長年ひそかに地域の花壇を手入れしてきた人が表彰され、隠れての信は現れての徳という言葉を思い出した。
  • 目立たない仕事を誠実に続ける姿勢は、隠れての信は現れての徳として、いつか周囲の信頼につながる。
  • 寄付を公表せずに続けてきた会社の姿勢は、隠れての信は現れての徳に通じるものがある。
  • 隠れての信は現れての徳というように、人知れず積み重ねた善行は、思わぬ形でよい結果をもたらすことがある。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・『千種本住吉』1221年ごろ成立か。
・日蓮『上野殿御消息』1275年。


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