【叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え

【ことわざ】
叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え

【読み方】
かなわぬこいにこころをつくすよりいぬねこをかえ

【意味】
叶わない恋に思い悩んで心をすり減らすより、愛情に応えてくれる犬や猫を飼う方がよいということ。

ことわざ博士
「心を尽くす」は、真心を込めることだけでなく、心を痛め、気をもむことも表すんだよ。
助手ねこ
かなわない恋でつらい思いをするより、愛情を返してくれる犬や猫と暮らそうという昔の言葉なんだニャ。

【英語】
・No folly to being in love.(恋に夢中になることほど愚かなことはない)
・unrequited love.(相手から同じように返されない恋)

【類義語】
・恋をするより徳をしろ(こいをするよりとくをしろ)
・及ばぬ恋は馬鹿がする(およばぬこいはばかがする)
・及ばぬ鯉の滝登り(およばぬこいのたきのぼり)

「叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え」の語源・由来

ことわざを深掘り

「叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え」は、恋の相手が自分の思いに応えてくれるか分からない不安定さと、飼い主の世話や愛情に応じやすい犬猫との対比で成り立つことわざです。恋そのものを否定するのではなく、報われにくい恋に心をすり減らしすぎる愚かさを、やや皮肉をこめて言い表しています。

このことわざの前半にある「恋」は、古くは人や土地などを思い慕うことを広く表しました。『万葉集』(8世紀後半成立、奈良時代)には、思いを過ごすことのできない「孤悲」という表記の例があり、恋が古くから強い思慕の心を表す言葉であったことが分かります。

また、「恋」は、特定の人に特別な愛情を感じて思い慕う意味にも使われました。『常陸風土記』(717〜724年ごろ成立、奈良時代)には「故き恋の積れる疹」という表現があり、恋が心身に重く積もるものとして語られています。

「心を尽くす」は、心の底から思い、できる限りのことをする、という意味をもつ言い方です。『万葉集』には「情尽(こころつくし)て恋ふる吾かも」という例があり、恋する心をこめて相手を思う表現として使われています。

一方で、「心を尽くす」には、精根を使い果たし、神経をすり減らし、さまざまに心を痛めるという意味もあります。『竹取物語』(9世紀末〜10世紀初め成立、平安時代前期)には「海山の道に心をつくし果て」という例があり、苦労や不安で心を使い果たす意味が表れています。

このことわざでは、「心を尽くす」が単に一生懸命に愛するというだけでなく、報われない恋のために気をもみ、心を疲れさせる意味を帯びています。相手の気持ちは自分だけでは決められないため、どれほど思いを注いでも結果が定まらないところに、この言葉の苦みがあります。

後半の「犬猫」は、文字どおり犬と猫を指します。犬や猫は、日常の中で人と近く暮らす動物であり、「飼う」は食べ物を与えて動物を養い育てることを表します。

「飼う」という言葉にも古い用例があります。『日本書紀』(720年成立、奈良時代)には、食べ物や水などを与えて生命を養う意味の例があり、動物を世話して育てる行為を表す言葉として古くから用いられてきました。

このことわざの面白さは、恋愛と飼育という、まったく別の関係を並べているところにあります。恋は相手の心があって初めて成り立つため、自分の思いだけでは叶いませんが、犬猫を飼うことは、日々の世話によって関係を築いていく現実的な行いとして描かれています。

近い発想をもつ表現に、「恋をするより徳をしろ」や「及ばぬ恋は馬鹿がする」があります。どちらも、先の見えにくい恋に心を奪われるより、もっと確かなことや身の丈に合ったことに目を向けよ、という考えを含んでいます。

「及ばぬ鯉の滝登り」は、「鯉」と「恋」をかけたしゃれを含み、身分などが不つりあいで叶う望みのない恋や、とうてい不可能なことを表します。恋を、届きにくいもの、無理に追えば苦しみになりやすいものとして見る点で、このことわざと意味が近くなっています。

現在の「叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え」は、恋をしてはいけないという意味ではありません。相手の心が返ってこない恋に深く沈みこむより、自分を支えてくれるもの、日々の生活を穏やかにするものへ心を向ける知恵を述べたことわざです。

「叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え」の使い方

ともこ
最近、健太くんが片思いのことでずっと落ち込んでいて、元気がないから心配だな。
健太
あの子のことを考えると、夜も眠れないし、勉強にも全然集中できないんだよ……。
ともこ
叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えというし、少し視野を広げてペットに癒やされてみたら?
健太
なるほど、実らない相手に悩むより、可愛い動物と過ごして元気を出したほうがいいってことか。

「叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼え」の例文

例文
  • 返事の来ない相手を思い続けて眠れない友人に、叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えという言葉を思い出した。
  • 叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えとは、報われない思いに心をすり減らしすぎるなという戒めである。
  • 姉は失恋のあと、叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えと言って、保護猫の世話を始めた。
  • 叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えというように、相手の心を変えようとして苦しみ続けるのはつらい。
  • 何年も片思いに悩む彼に、友人は叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えと冗談めかして励ました。
  • 叶わぬ恋に心を尽くすより犬猫を飼えということわざは、恋に疲れた心を少し現実へ戻す言葉でもある。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Walter K. Kelly, Proverbs of All Nations, Compared, Explained, and Illustrated, W. Kent & Co., 1859.




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