【二字熟語】
範疇
【読み方】
はんちゅう
【意味】
①《「書経」洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫 (たま) う」から》同じような性質のものが含まれる範囲。カテゴリー。
②哲学で、あらゆる事象をそれ以上に分類できないところで包括する一般的な基本概念。
㋐アリストテレスで、あらゆる存在者がその下に包摂される最高類概念。実体・量・質・関係・場所・時間・位置・状態・能動・受動の10項目。
㋑カントで、純粋理性概念(理念)から区別された純粋悟性概念。思惟能力としての悟性の先天的形式で、これによって悟性は対象を認識へと構成する。量(単一性、数多性、総体性)、質(実在性、否定性、制限性)、関係(付属性‐自存性、原因性‐依存性、相互性)、様相(可能性‐不可能性、現存在‐非存在、必然性‐偶然性)の4項12目。
【語源・由来】
「範」は「さかい。くぎり。わく。」
「疇」は「たぐい。ともがら。」
【類義語】
種別、例文、種目、分類、階級、部門、種族、部類、領域
範疇(はんちゅう)の使い方
自転車って車両なの?
そうよ。道路交通法で定める軽車両の範疇に入るのよ。
エンジンがないのに?
そうなのよ。気を付けないと自動車と同じように罰せられるかもしれないわよ。
範疇(はんちゅう)の例文
- 倫理学の範疇に属する問題です。
- この作品は、ミステリー小説の範疇に入ります。
- 男とか女とかいう範疇を越えた問題です。
- これらは同一の範疇に属する。
- 今どき、60歳は老人の範疇には入らないよ。
「範疇」と「範囲」の違いは?
「範疇」に似ている語に「範囲(はんい)」があります。
「範囲」は「ある一定の限られた広がり。ある区域。」という意味です。
「範疇」は、「カテゴリー」ともいうように、似ている要素を持つものが属する範囲をいいます。
対して「範囲」は、「できる範囲で手伝う」のように、特定の性質に限らない、ある一定の広がりのこと、またある区域をいうので意味が違います。
近年、「常識の範疇で判断する」「法律に触れない範疇」のように、「範囲」の意味で「範疇」を使うことが増えていますが、避けたい用法です。