【ことわざ】
吉凶は人によりて日によらず
【読み方】
きっきょうはひとによりてひによらず
【意味】
運のよしあしや物事の成否は、人の行いによって決まるものであり、暦の上の日取りによって決まるものではない。


【類義語】
・禍福門なし唯人の招く所(かふくもんなしただひとのまねくところ)
【対義語】
・運は天にあり(うんはてんにあり)
「吉凶は人によりて日によらず」の語源・由来
このことわざは、『徒然草(つれづれぐさ)』(元弘元年〈1331年〉頃・鎌倉時代末期、兼好著)の第九十一段に出てきます。現在知られている形とほぼ同じ言い回しが、この段の結びに、「吉凶は、人によりて、日によらず」と記されています。
第九十一段で兼好が取り上げたのは、赤舌日(しゃくぜちにち)という、不吉だと考えられていた日です。兼好は、昔の人はこの日を避けなかったのに、近ごろになって何者かが言い出し、この日に口にしたことや行ったことは実現せず、得た物は失い、企てたことも成功しないとして、忌み始めたと書いています。
これに対して兼好は、吉日を選んで行ったにもかかわらず、最後まで成し遂げられなかったことを数えてみれば、凶日とされる日に失敗した数と同じようなものになるはずだと述べています。日につけられた吉凶の印と、実際の成功や失敗との間に、決まった結び付きがあるわけではないという考えです。
兼好は、その理由を、この世のすべてが絶えず移り変わることに求めています。物事には始まりがあっても、思いどおりの終わりを迎えるとは限らず、人の望みは尽きず、心も一定ではありません。万物は幻のように変化し、少しの間も同じ状態にとどまらないのに、日取りだけで先の結果を決めようとするのは、この道理を理解していないからだと説いています。
そのうえで兼好は、吉日であっても悪い行いをすれば結果は凶となり、悪日とされる日であっても善い行いをすれば結果は吉となると述べています。ここから導き出された結論が、「吉凶は人によりて日によらず」です。暦の日ではなく、その日に人が何を考え、どのように行動するかが大切だという教えです。
「人によりて」の「よりて」は、現代語の「よって」に当たり、「人の行いによって」という意味です。「日によらず」は、特定の日であることには左右されないという意味で、全体を現代の言葉に直せば、「吉凶は人の行いによるのであって、日取りによるのではない」となります。
この言葉は、人の力ですべての出来事を思いどおりにできるという意味ではありません。成功や失敗を吉日・凶日だけのせいにせず、自分にできる善い行いと十分な準備を重ねることを説いています。中世の『徒然草』に記された一節が、日取りに心を縛られないためのことわざとして、現在まで伝わっています。
「吉凶は人によりて日によらず」の使い方




「吉凶は人によりて日によらず」の例文
- 大安に始めた計画でも、準備を怠れば成功しないと、父は吉凶は人によりて日によらずと教えた。
- 仏滅の試合を不安がる選手に、監督は吉凶は人によりて日によらずと声を掛けた。
- 吉凶は人によりて日によらずと考え、彼女は受験日の暦よりも毎日の勉強を大切にした。
- 店主は吉凶は人によりて日によらずを信条とし、開業日より商品の質と接客を重んじた。
- 結婚の日取りに迷った二人は、吉凶は人によりて日によらずと話し合い、家族が集まりやすい日を選んだ。
- 町の行事を成功させるには十分な準備が必要だと、会長は吉凶は人によりて日によらずを引いて説明した。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・兼好『徒然草』元弘元年(1331年)頃。



-298x300.png)










