【ことわざ】
青葉は目の薬
【読み方】
あおばはめのくすり
【意味】
みずみずしい青葉の緑を見ると、疲れた目がいやされるということ。


「青葉は目の薬」の語源・由来
「青葉」は、春から初夏にかけて木々に広がる、みずみずしい緑の葉です。このことわざでは、その鮮やかな緑を眺めることが、疲れた目をいたわる薬のような働きをするものとたとえています。
「目の薬」は、もとは目に用いる薬を指す言い方でした。『名語記』(1275年・鎌倉時代後期)には、文字どおりの目薬に関わる「目の薬」の用例があります。
その後、「目の薬」は、実際に目へ用いる薬だけでなく、見て心の慰めとなるものや、目を楽しませてくれるものも表すようになりました。『文明本節用集』(室町時代中期)には、既にこの比喩的な意味での用例があります。
この古くからのたとえに、初夏の木々の緑が結びついた表現として、江戸時代前期の俳人・北村季吟の句「夏山は目の薬なる新樹かな」が伝わります。「新樹(しんじゅ)」は、初夏に若葉を青々と茂らせた木々を指し、夏山の緑が、見る人の目を楽しませ、休ませる景色として詠まれています。
北村季吟の『山之井(やまのい)』(1647年成立、1648年刊・江戸時代前期)は、季節の題を挙げ、解説と句例を添えた俳諧の書物です。季節の景色を短い言葉でとらえる俳諧の中で、初夏の緑を「目の薬」と表す言い方は、青葉の美しさと、それを眺める人の安らぎとを結びつける表現となりました。
また、このことわざの出典としては、松江重頼編『毛吹草(けふきぐさ)』(1645年刊・江戸時代前期)にある「夏山は目の薬なる新樹哉」という句も挙げられます。夏山の新しい緑を「目の薬」とする言い方が、江戸時代前期の俳諧の中で用いられていたことが分かります。
現在の「青葉は目の薬」は、古くから比喩にも用いられた「目の薬」を、青葉の緑に結びつけた簡潔なことわざです。木々の緑を見て目が休まり、心までほっとするような場面を、身近で美しい言葉として表しています。
「青葉は目の薬」の使い方




「青葉は目の薬」の例文
- 読書の合間に庭の若葉を眺め、青葉は目の薬だとしみじみ思った。
- 細かな作業を終えた職人は、窓の外の新緑に目を移し、青葉は目の薬だと息をついた。
- 遠足で木立の道を歩くうちに、児童たちは青葉は目の薬という言葉を実感した。
- 祖母は縁側から庭を眺め、青葉は目の薬だから新緑の季節が好きだと語った。
- 会議が続いた午後、社員は並木の緑を眺め、青葉は目の薬だと気分を切り替えた。
- 町を彩る街路樹の緑は、青葉は目の薬ということわざを思い出させる景色だった。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』全3巻、小学館、2005〜2006年。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・北村季吟『山之井』1648年。
・松江重頼編『毛吹草』1645年。























