【ことわざ】
大嘘は吐くとも小嘘は吐くな
【読み方】
おおうそはつくともこうそはつくな
【意味】
誰も信じないような大きな嘘よりも、本当らしく聞こえる小さな嘘のほうが人をだましやすく、実害を生みやすいので、ついてはならないということ。


【類義語】
・嘘吐きは泥棒の始まり(うそつきはどろぼうのはじまり)
【対義語】
・正直は一生の宝(しょうじきはいっしょうのたから)
「大嘘は吐くとも小嘘は吐くな」の語源・由来
「大嘘は吐くとも小嘘は吐くな」は、「大嘘」と「小嘘」を対照させた言い方です。あまりにも大げさで現実離れした嘘は、聞いた人が初めから疑うため、だまされにくいと考えます。一方、事実に少しだけ嘘を混ぜた話は本当らしく聞こえ、相手が信じて行動してしまうおそれがあるため、こちらをいっそう危険なものとして戒めています。
前半の「大嘘は吐くとも」は、大嘘を勧める言葉ではありません。「たとえ大嘘をつくことがあったとしても」という強い譲歩を先に置くことで、後半の「小嘘は吐くな」を際立たせています。小さな嘘ほど見抜きにくく、相手の判断や人間関係を静かにゆがめるという経験上の教えを、逆説的に表したことわざです。
このことわざを形づくる「嘘」という言葉は、室町時代の国語辞書『温故知新書(おんこちしんしょ)』(1484年・室町時代、大伴広公著)に、「ウソ」として載っています。また、『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』(1563年・室町時代)にも、事実に反する言葉という現在に近い意味で、「うそ」が使われています。
「嘘を吐く」という言い方も古く、『玉塵抄』には「口にまかせてうそをついて」とあります。ここでの「つく」は、口から外へ出すという意味をもつ動詞で、もとは物を体外へ出す意味の「吐く」が、嘘を口にする行為にも使われるようになったものです。
江戸時代後期の咄本(はなしぼん)『無事志有意』(1798年、立川談洲楼焉馬作)にも、「虚言をつく者」という言い方が出てきます。この段階では、「嘘をつく」は特別な言い回しではなく、嘘を言うことを表す一般的な表現として広く使われていました。
「大嘘」という言葉の古い用例には、『社会百面相(しゃかいひゃくめんそう)』(明治35年、内田魯庵著)の「大嘘ですワ」があります。ここでの「大嘘」は、とんでもないでたらめや、まったく事実に反する言葉という意味です。
「小嘘」は、このことわざの中で「大嘘」と対になる言葉です。嘘の内容が小さいというだけでなく、本当の話にわずかな偽りを混ぜたり、自分に都合の悪い部分だけを変えたりした、もっともらしい嘘を指します。そのため、聞き手が警戒せずに信じやすいという点に、このことわざの教えがあります。
表記には、ユーザーが示した「大嘘は吐くとも小嘘は吐くな」のほか、「大嘘はつくとも小嘘はつくな」と、動詞をひらがなで書く形もあります。「吐く」と書いても、読みは「はく」ではなく「つく」であり、どちらも意味は同じです。
このように、「大嘘は吐くとも小嘘は吐くな」は、古くから使われてきた「嘘を吐く」という言い方をもとに、「大嘘」と「小嘘」を対照させて生まれた戒めです。人を驚かせるほど大げさな作り話よりも、事実に紛れ込んだ小さな偽りのほうが、人を本当にだまし、信頼を傷つけることがあると教えています。
「大嘘は吐くとも小嘘は吐くな」の使い方




「大嘘は吐くとも小嘘は吐くな」の例文
- 宿題を出したとごまかす弟に、母は大嘘は吐くとも小嘘は吐くなと注意した。
- 大嘘は吐くとも小嘘は吐くなというように、少しのごまかしでも人の信用を失うことがある。
- 友人の失敗を隠すために事実を少し変えたが、大嘘は吐くとも小嘘は吐くなという言葉を思い出して訂正した。
- 売り上げの数字をわずかに多く報告する行為こそ、大嘘は吐くとも小嘘は吐くなと戒められるものだ。
- 大嘘は吐くとも小嘘は吐くなという教えを守り、担当者は小さな間違いも正直に報告した。
- うわさに本当らしい作り話を混ぜる危険は、大嘘は吐くとも小嘘は吐くなということわざによく表れている。
主な参考文献
・小学館大辞泉編集部編、松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・大伴広公『温故知新書』1484年。
・『玉塵抄』1563年。
・立川談洲楼焉馬『無事志有意』1798年。
・内田魯庵『社会百面相』博文館、1902年。























