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【一番風呂は馬鹿が入る】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語)

一番風呂は馬鹿が入る

【ことわざ】
一番風呂は馬鹿が入る

【読み方】
いちばんぶろはばかがはいる

【意味】
沸かしたてで、まだだれも入っていない風呂は刺激が強く、すぐ入るのは体によくないという戒め。

ことわざ博士
「一番風呂は馬鹿が入る」は、きれいな湯を早く使いたがる気持ちをおさえ、体への負担を避ける生活上の注意を強い言い方で表したものなんだよ。
助手ねこ
高齢者や病後の人、肌の弱い人など、熱や刺激の負担を避けたい場面で用いるニャン。

【類義語】
・年寄りには新湯は毒(としよりにはあらゆはどく)

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「一番風呂は馬鹿が入る」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざの土台には、「沸かしたてで、まだだれも入っていない湯」は体に強く当たりやすい、という日本の入浴生活の知恵があります。「一番風呂」は、現在では「沸かしたてで、まだだれも入っていない風呂」、またはそこに最初に入ることを指します。

ただし、「一番風呂」という言葉そのものは、はじめから現在と同じ意味だけで使われたわけではありません。『言継卿記』(1527〜1576年ごろ、山科言継の日記)には、永禄七年(1564年)七月一九日の用例として「一番風呂巳下刻留、余人入了」とあります。ここでは、寺社などで一日に何度か沸かして人々を入浴させた風呂のうち、その日の最初の風呂という意味で使われています。

風呂の形も、時代によって変わってきました。古くは蒸気を室内にこもらせる蒸し風呂が普通でしたが、江戸時代初期には浴槽に湯をたたえた水風呂が生まれ、しだいに湯に入る形の入浴が広まりました。こうした暮らしの変化の中で、湯を沸かす順番、最初に入る人、体に合う湯加減への注意が、生活の言い伝えとして重みを持つようになったと考えられます。

「一番風呂は馬鹿が入る」と近い考えは、古くは「新湯(あらゆ・さらゆ)」への注意として表れます。「新湯」は、沸かしたてでまだ人が入っていない風呂、またはその湯のことです。古い用例では、井原西鶴『本朝二十不孝』(1686年・江戸時代前期)に「新湯(アラユ)は人の身に毒なり」とあります。

『本朝二十不孝』のその場面では、煤払いのあとに水風呂を焚き、湯加減がよくなったと聞いた男が、「新湯は人の身に毒なり。まづ隠居の親仁を入れよ。」と言います。言葉だけを見れば、沸かしたての湯は体によくないという生活上の注意ですが、物語の中では、隠居した父親を先に入れようとする不孝な心もにじませています。ここから、当時すでに「新湯は体に毒」という考えが、読者に伝わる言い方として成り立っていたことが分かります。

さらに、評判記『役者目利講』(1714年・江戸時代中期、大坂)には、「兄庄左殿には御病後、さら湯(ユ)は毒じゃによって跡ほどがよい」とあります。これは、病後の人には、まだ誰も入っていないさら湯より、あとから入る湯のほうがよいという意味です。ここでは、一番に入ることが名誉や得ではなく、体に負担のあることとして語られています。

このような「新湯は毒」「さら湯は毒」という考えが、のちに「一番風呂は馬鹿が入る」という、より強く、覚えやすい言い方に結びついたと考えられます。「馬鹿」という言葉は、人を本気でののしるためというより、きれいだからといってすぐ飛びつくのは賢くない、という戒めを強める役目をしています。

現在の生活では、水道水を沸かしただけの一番風呂は、湯の成分が水道水そのものに近く、体液との濃さの差による浸透圧や、塩素の刺激が肌への負担になる場合があります。昔の人が「きめが粗い」「体によくない」と言い表した感覚は、現代では、湯の成分や皮膚への刺激という面からも説明できる内容です。

つまり、「一番風呂は馬鹿が入る」は、清潔そうに思える一番風呂にも、体への刺激という落とし穴があることを伝えることわざです。急いで得をしたつもりになるより、体に合う状態を待つほうがよい、という昔の暮らしの知恵がこめられています。

「一番風呂は馬鹿が入る」の使い方

健太
今日のお風呂、もう沸いたって。だれも入ってないから、ぼくが一番に入ろうかな?
ともこ
ちょっと待って! お湯が熱すぎるかもしれないし、肌にも強いかもしれないよ。
健太
そうか。一番風呂は馬鹿が入るって、おばあちゃんが言っていたね。少し冷ましてから入るよ。
ともこ
うん。先に湯かき棒で混ぜて、温度を見てからにしよう!
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「一番風呂は馬鹿が入る」の例文

例文
  • 祖父は、一番風呂は馬鹿が入ると言って、沸かしたての湯にすぐ入ることを避けた。
  • 母は弟に、一番風呂は馬鹿が入るから湯加減を確かめてから入りなさいと注意した。
  • 合宿所の風呂が沸いたばかりだったので、一番風呂は馬鹿が入ると思い、少し時間を置いた。
  • 一番風呂は馬鹿が入るということわざは、清潔そうに見えるものにも体への負担があることを教えている。
  • 病み上がりの父には、一番風呂は馬鹿が入るという考えに従い、家族が入ったあとの湯に入ってもらった。
  • 銭湯好きの叔父は、一番風呂は馬鹿が入ると言いながら、熱すぎない湯加減を大切にしている。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。
・山科言継『言継卿記』1527〜1576年ごろ。
・井原西鶴『本朝二十不孝』1686年。
・『役者目利講』1714年。





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