『通俗篇』(つうぞくへん)は、清時代の翟こう(1736~88)による中国の通俗語辞書です。
全38巻から成り、五千余りの俗語、成語、諺を天文、地理、時序、倫常など38のカテゴリーに分類しています。
各語の意味の考証や語源の解読を行っており、特に中世以降の戯曲や口語小説に出てくる通俗語や方言を取り上げる点で特色があります。
このため、通俗文学の研究には非常に貴重な資料となっています。また、同時代の学者、梁同書が類似の書を執筆しようとしていた際に、『通俗篇』を参考にし、その中で取り上げられていない語や解釈の異なる語を集めて『直語補証』を著しました。
北京商務印書館の1958年版では、『通俗篇』と『直語補証』が一緒になっており、索引付きで非常に利用しやすくなっています。