『南史』は、中国の南朝に関する正史で、二十四史の一部として知られます。唐の李延寿が編纂し、全80巻から成り立っており、本紀10巻と列伝70巻の構成となっています。
この書は南北朝時代の南朝の宋、斉、梁、陳の4王朝の歴史を詳しく記述しています。
『南史』は独自の特色を持ち、その内容は断代史である『宋書』、『南斉書』、『梁書』、『陳書』を合わせたものの半分程度の分量ですが、それらの断代史には記されていない情報も多く含まれています。特に恩倖伝の増補などが顕著に見られます。
また、『南史』の特徴として、一族の人物を王朝の興亡と関係なく一箇所にまとめて記述する「家伝」という方法を採用しています。
これは南北朝時代の門閥貴族社会の実態をよく伝えているため、多くの人々に広く読まれてきました。