ことわざ研究者(ことわざ学会代表理事)。エッセイスト。学習院大学非常勤講師として「ことわざの世界」を講義した(2005年から断続的に2017年3月まで)。用例や社会的背景を重視し、日本のことわざを実証的に研究する。
“地震雷火事親父”のレトリック
(地震雷火事親父)
“地震雷火事親父”--ほとんどの人が知っている表現で、
「地震」の恐ろしさは、今年(2024年)
日本は国土が狭いのに、世界の大地震(マグニチュード6以上) の20%以上が日本でおきていて、
二番目は「雷」--これも、直撃されると命にかかわります。
三番目の「火事」は、地震や雷が天災(自然による災害)
火は料理や暖房などに使われ、とても便利なものですが、
最後の「親父(おやじ)」は、前の三つの災害とはちがって、
このことわざは、「地震雷火事親父」
「じしん」は3音、「かみなり」は4音で、合わせて7音。「
しかも、このことわざは、「雷」と「火事」の語頭(単語のはじめの部分)の音(頭韻)がともに「か」で、同じです。「火事」と「親父」の最後の音(脚韻)もともに「じ」で、共通しています。つまり、「地震雷火事親父」という短い文句のなかで、音声の面で二カ所韻を踏み、内容もちょっとした意外性があるので、一度聞いただけでも耳に残るのではないでしょうか。。
このことわざは、古くは『尾張童遊集』(1831年)の「
いまでは、全国どこでもよく知られていて、
©2024 Yoshikatsu KITAMURA
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多くのことわざ資料集を監修し、『故事俗信ことわざ大辞典』第2版(小学館、2012)を編纂・監修した。後者を精選しエッセイを加え、読みやすくした『ことわざを知る辞典』(小学館、2018)も編んでいる。視野を世界にひろげ、西洋から入ってきた日本語のことわざの研究や、世界のことわざを比較研究した著書や論考も少なくない。近年は、研究を続けるほか、〈ミニマムで学ぶことわざ〉シリーズ(クレス出版)の監修や、子ども向けの本の執筆にも取り組んでいる。
主な編著書
『故事俗信ことわざ大辞典』第2版(小学館)、『ことわざを知る辞典』(小学館)、『世界のふしぎなことわざ図鑑』(KADOKAWA)、『ミニマムで学ぶ 英語のことわざ』(クレス出版)、『ことわざの謎 歴史に埋もれたルーツ』(光文社)、『世界ことわざ辞典』(東京堂出版)、『英語常用ことわざ辞典』(武田勝昭氏との共著、東京堂出版)など。
北村孝一公式ホームページ
ことわざ酒房(http://www.246.ne.jp/~kotowaza/)