『十八史略』とは、中国の通俗史書で、宋末から元初の曾先之によって編纂された2巻の歴史読本です。
この書は、『史記』から『新五代史』までの17の正史と、曾先之の時代の宋に関する史書を基に、重要な出来事や人物を編年体でまとめたものです。
元々2巻でまとめられていたものが、明時代の陳殷によって注釈や字音、字義の解釈が付け加えられ、7巻に拡大されました。
また、明の中期には劉剡がいくつかの改変を行ないました。
この書は初学者向けの教材として用いられ、特に宋の部分では、正史『宋史』が完成していなかったため、野史やその他の記録を多用していることが特徴です。
日本においては、室町時代に導入され、江戸時代以降、和刻本として広く流布しました。明治時代には全国の小学校の教科書として採用され、多くの注釈書も出版されました。
しかし、中国本土では、清代の学者たちからあまり高い評価を受けていなかったため、あまり知られていない部分もあります。