「どんぐりの背比べ」という言葉を聞いたことがありますか?
どんぐりをコマにして遊んだことがあるけれども、並べて背比べなんてしたことがないよという方・・・、「どんぐりの背比べ」は遊びを表現した言葉ではありません。
それでは本当はどういう意味なのでしょうか。
どんぐりの背比べの意味
「どんぐりの背比べ」は、どれもこれも似たようなもので、大したものではないこと。また、大きなちがいはないこと。
という意味です。
ちなみにどんぐりとは、団栗のことで、
広辞苑によると、(トチグリ(橡栗)の転か)カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称。椀上の殻斗があり、果実の下半を包む。
という意味です。
確かに木の種類が違えば大きさや形に差が出てきますが、一つの木になっているどんぐりは、みな同じに見えますよね。
「どんぐりの背比べ」は、どんぐりを並べるかわいいイメージに反して、否定的な言葉なんです。
どんぐりの背比べの由来
「どんぐりの背比べ」の由来は、どんぐりの形も大きさもほぼ同じで差がないために、背比べをしたところで優劣が決められないことからきています。
虫食いの穴があったりしない限り、見分けがつかないほど似ているどんぐりを並べたかのように、みな同じ、どれもこれも一緒で秀でたものはないという意味になりました。
どんぐりの背比べの使い方
では、意味が分かったところで「どんぐりの背比べ」の使い方を見ていきましょう。
というように、優秀な作品がなく大したことがないという、低レベルな争いという意味で使ったり、
という風に、大した違いはないという意味で使います。
どんぐりの背比べと五十歩百歩との違い
「どんぐりの背比べ」の類義語に五十歩百歩(ごじっぽひゃっぽ)があります。
五十歩百歩の意味は、
少しの違いはあることにはあるが、本質的には同じことだ
という意味です。
五十歩退却した兵士が百歩退却した兵士を臆病だと笑ったが、逃げた点では同じだから笑う資格はないというたとえ話から出た語なんです。
「どんぐりの背比べ」に似ていますよね。でも、すこーしだけ違う部分があって、
「どんぐりの背比べ」は、
というように、突出して秀でている人がいない場合に使われます。
五十歩百歩は、
というように、どちらもだめという様子が漂っています。
さらに、「どんぐりの背比べ」は、複数の比較に対しても使うことがありますが、五十歩百歩は二つのものの比較です。
これは大きな違いですね。
「どんぐりの背比べ」には、他にも類義語があります。
・一寸法師の背比べ(いっすんぼうしのせいくらべ)
・似たり寄ったり(にたりよったり)
・目くそ鼻くそを笑う(めくそはなくそをわらう)
などです。
四字熟語にも「どんぐりの背比べ」の類義語があるので紹介します。
どんぐりの背比べを四字熟語で表すと?
「どんぐりの背比べ」の類義語で四字熟語であるものは、
・大同小異(だいどうしょうい)
大体は同様であるが、小部分が異なっていること。大変似ていること。似たり寄ったり。
・五分五分(ごぶごぶ)
双方優劣のないこと。
・同工異曲(どうこういきょく)
【韓愈、進学解】音楽・詩文などで、手法は同じであるが、趣の異なること。また、見かけは異なっているようだが中身は同じであることにもいう。異曲同工。
いずれも「どんぐりの背比べ」と、大して違いがない意味ですね。
どんぐりの背比べの対義語
・掃き溜めに鶴(はきだめにつる)
つまらぬ所に、きわだってすぐれたものが現れるたとえ。「ごみ溜めに鶴」ともいう。
・鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく)
多くの凡人の中にいる一人のすぐれた人のたとえ。
「どんぐりの背比べ」とは反対に、際立って優れた者がいるという意味になっています。
まとめ
「どんぐりの背比べ」の意味を知っていかがだったでしょうか。
もっとかわいい意味だと思っていたよ。
ポジティブな意味じゃなくて驚いたよ。
幼少のころ、どんぐりで遊んだ記憶がある方の中には、そう思う方がいらっしゃるかもしれませんね。
「どんぐりの背比べ」は、大して違いがない、秀でたものがいないため低レベルな競争になっているということのたとえです。
なので、間違った使い方をすると
「どんぐりの背比べ」と言われた相手が急に怒りだすことになりかねません。
「どんぐりの背比べ」のただしい意味を知って、相手を怒らせない会話にしましょう。