【ことわざ】
七転び八起き
【読み方】
ななころびやおき
【意味】
七度転んでも八度起き上がるという意から、何度失敗してもくじけず、そのたびに立ち直って努力すること。人生には浮き沈みが多いことのたとえにも用いる。


【英語】
・If at first you don’t succeed, try, try again(初めにうまくいかなくても、もう一度挑戦せよ)
【類義語】
・七転八起(しちてんはっき)
・失敗は成功のもと(しっぱいはせいこうのもと)
・捲土重来(けんどちょうらい)
【対義語】
・七転八倒(しちてんばっとう)
「七転び八起き」の語源・由来
「七転び八起き」は、文字どおりには、七度転んで八度起き上がるという形をもとにしたことわざです。ここでいう「七」や「八」は、単なる回数だけを表すというより、何度も失敗し、それでもなお立ち上がる強い気持ちを表す数として働いています。七回転んだなら七回起きれば足りるはずですが、あえて一つ多い「八」を置くことで、失敗よりも立ち上がる力のほうを前に出す表現になっています。
古い用例としては、『吉原人たばね』(1680年ごろ・江戸時代前期、評判記)に「よの中は夢まぼろし、七ころひ八をき」と出てきます。評判記(ひょうばんき)は、江戸時代に物事のうわさや世評を書いた書物で、明暦(1655〜1658年)ごろから遊女評判記が流行し、それにならって役者評判記なども作られました。
この古い用例では、「世の中は夢や幻のようなものだ」という考えとともに、「七ころひ八をき」という形が使われています。つまり、人生は安定したものではなく、思いがけず落ち込むこともあれば、また起き上がることもある、という浮き沈みの見方が強く表れています。現在の「何度失敗してもくじけない」という励ましの意味だけでなく、人の世の変わりやすさを表す意味も、早い段階からこのことわざに含まれていました。
表記としては、「七転び八起き」のほかに、「七転八起」や「七顛八起」という形も使われます。「七転八起」は、七度転んで八度起きること、また倒れても倒れても起き上がることを表し、「ななころびやおき」と説明されることもあります。明治時代の小説『当世書生気質』(1885〜1886年、坪内逍遙著)には「七転八起」という形の用例が出てきます。
後の時代には、失敗から立ち直る姿勢を表すことわざとして、さらに広く用いられるようになりました。『平家蟹』(1912年、岡本綺堂著)には「人は七転び八起き」という形があり、不運のあとにもよいことが来るという流れで使われています。また、相馬愛蔵の文章『私の小売商道』(1952年)では、事業に失敗しても日ごろの鍛錬によって元の位置に戻る商人の姿を、「七転び八起き」と表しています。
このように、「七転び八起き」は、もとは転ぶことと起き上がることを重ねた分かりやすい言い方から生まれ、江戸時代には人生の浮き沈みを表す言葉として使われていました。その後、近代以降の文章の中で、失敗に負けず努力を続ける姿勢を表す意味がよりはっきりしていきました。現在では、受験、仕事、スポーツ、ものづくりなど、失敗しても再び挑戦する場面で、人を励ますことわざとして親しまれています。
「七転び八起き」の使い方




「七転び八起き」の例文
- 七転び八起きの心で、試合に負けたチームは翌日から練習をやり直した。
- 七転び八起きというように、兄は受験に失敗しても目標を変えずに学び続けた。
- 店の経営は何度も苦しかったが、父は七転び八起きで新しい方法を試した。
- 七転び八起きを胸に、友人はけがのリハビリを毎日少しずつ続けた。
- 研究が思うように進まなくても、七転び八起きで原因を探して改善した。
- 人生は七転び八起きで、つまずいた経験が次の挑戦を支えることもある。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・Cambridge University Press『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus』Cambridge University Press。























