【無くて七癖】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

無くて七癖

【ことわざ】
無くて七癖

【読み方】
なくてななくせ

【意味】
どんな人でも、多少は癖があるものだということ。癖がないように見える人にも、よく見ればいくつかの癖があるというたとえ。

ことわざ博士
無くて七癖の「七」は、ぴったり七つではなく、さまざまな癖を表す数だよ。
助手ねこ
自分には癖がないと思っていても、誰にでも何かしらの癖があるものなんだニャ。人それぞれの習慣を表す言葉なんだニャン。

【英語】
・Everyone has their little quirks(だれにでも小さな癖がある)

【類義語】
・無くて七癖有って四十八癖(なくてななくせあってしじゅうはっくせ)
・人に七癖我が身に八癖(ひとにななくせわがみにやくせ)

「無くて七癖」の語源・由来

ことわざを深掘り

「無くて七癖」は、癖がないように見える人でも、実際にはいくつかの癖があるという考えから生まれたことわざです。ここでいう「七」は、数を正確に七つに限るものではなく、「いろいろある」「少なくない」という意味合いをもつ数です。続けて「有って四十八癖」と言う形では、「四十八」もまた、さらに多くの癖を表す数として働いています。

このことわざの土台にある「七癖」という言葉は、江戸時代前期にはすでに使われていました。『秘伝書』(1655年ごろ)には「七くせともにあるなり」という用例が出てきます。この段階では、現在の「無くて七癖」という決まった形そのものではなく、「七癖」という言葉が、だれにでも癖や特徴があることを表す言い方として働いています。

「無くて七癖」に近い形は、『艶道通鑑(えんどうつがん)』(正徳5年序・江戸時代前期、増穂残口作・序)に出てきます。この書物には「なふても七僻(ナナクセ)とやら」とあり、続く文で、一人の男が朝夕に草花を愛しすぎる癖をもつことが述べられています。ここでは「無くて」が古いかなづかいで「なふても」と書かれ、「七癖」は「七僻」という表記で出てきます。

この古い用例から分かるように、「無くて七癖」は、はじめから大きな欠点を責める言葉というより、ふだんは目立たない人にも、よく見るとその人らしい癖がある、という見方を含んでいます。「一僻」として草花を愛しすぎることを取り上げている点も、癖を悪事としてではなく、人の性質やふるまいの片寄りとして見ていることを示しています。

のちには「無くて七癖あって四十八癖」という長い形も広まりました。1896年の落語『二人癖』には「無くて七癖あって四十八癖」という形が出ており、「七」「四十八」がどちらも多数を表す数として、人には多かれ少なかれ癖があるという意味を作っています。

近代の文章でも、このことわざは人の癖をやわらかく受け止める表現として使われています。相馬愛蔵・相馬黒光『一商人として』(1938年)では、人物の煙草好きや朝寝坊の癖にふれて「人にはなくて七癖」と述べています。また、喜多六平太『六平太芸談』(1942年)では、どんな人にも癖があり、自分の癖は分かりにくいものだという文脈で使われています。

現在の「無くて七癖」は、人を責め立てるためのことわざというより、人にはそれぞれ気づきにくい癖があると受け止めるための言い方です。他人の癖を見つけたとき、自分にも同じように人から見える癖があるかもしれないと考えさせるところに、このことわざの味わいがあります。

「無くて七癖」の使い方

健太
自分では気をつけているつもりだけど、僕って何か変な癖とかあるのかな?
ともこ
健太くん、考え事をしているときに、いつも無意識にペンを回しているわよ。
健太
えっ、全然気づかなかった!自分では全く癖がないタイプだと思っていたのになあ。
ともこ
ふふふ、無くて七癖って言うし、自分じゃ気づかないだけできっと誰にでもあるものよ。

「無くて七癖」の例文

例文
  • 無くて七癖で、まじめな兄にも鉛筆を何度も並べ直す癖がある。
  • 担任の先生は、無くて七癖だから自分の口癖にも気をつけたいと言った。
  • 無くて七癖というように、職場のだれにも仕事の進め方に小さな特徴がある。
  • 家族で写真を見返すと、無くて七癖で、父は話すとき必ず腕を組んでいた。
  • 無くて七癖を忘れず、相手の癖をからかう前に自分のふるまいも振り返った。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館『デジタル大辞泉』小学館。
・増穂残口『艶道通鑑』正徳5年(1715年)序、享保4年(1719年)刊。
・相馬愛蔵・相馬黒光『一商人として』1938年。
・喜多六平太『六平太芸談』1942年。
・Encyclopædia Britannica, Inc.『Britannica Dictionary』2026年。




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