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【地震雷火事親父】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

「地震雷火事親父」の漫画

【ことわざ】
地震雷火事親父

【読み方】
じしんかみなりかじおやじ

【意味】
世の中でとくに恐ろしいものを並べた言い方。地震、雷、火事に、昔の家で強い権威をもった親父を加えていう。

ことわざ博士
地震雷火事親父は、人の力では防ぎにくい災害や、逆らいにくい強い存在を並べたことわざだよ。
助手ねこ
昔の暮らしの中で、多くの人が身近に恐れたものを表す場面で用いるニャン。

【英語】
・earthquakes, thunder, fires, and fathers(地震・雷・火事・父親という恐ろしいもの)
・things people fear most(人々が最も恐れるもの)

【類義語】
・怖いもの見たさ(こわいものみたさ)
・雷親父(かみなりおやじ)

【対義語】
・案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし)

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「地震雷火事親父」の語源・由来

ことわざを深掘り

「地震雷火事親父」は、中国の古い故事に由来する故事成語ではなく、日本で伝えられてきたことわざです。地震、雷、火事という大きな災いに、昔の家庭で強い権威をもっていた親父を加え、世の中で恐ろしいものを順に並べた言い方です。

このことわざの前半にある地震・雷・火事は、いずれも人の力で思いどおりに止めにくく、いったん起これば大きな被害につながるものです。とくに木造の家が多く、火を日常的に使っていた時代には、火事は町全体を巻きこむ災いになりやすく、雷も落雷や火災と結びついて恐れられました。地震は建物を倒し、火事を引き起こすこともあり、暮らしを根底からおびやかすものとして強く意識されていました。

この言い方が江戸時代の災害文化の中で広く知られていたことは、安政2年(1855年)の江戸大地震の後に出た鯰絵(なまずえ)からもうかがえます。鯰絵は、地震は地底の鯰が動くことで起こるという俗信をもとにした錦絵で、被害の様子や世相を風刺する刷り物として町に広まりました。

安政2年刊の『鯰の生捕』では、地震を起こす鯰と雷が描かれ、「地震、雷、火事、親父」という恐ろしいものの並びが意識されています。右上の雷が「とても地震にはかなわない」と頭をかく場面は、地震を最も手ごわいものとして扱いながら、雷や火事も同じ恐れの連なりの中でとらえていたことを示しています。

別の鯰絵でも、「地震、雷、火事、親父」という諺は、古くから恐いものの代表として言い伝えられてきたものとして扱われています。その絵では、地震を町人姿の鯰、雷を鬼、火事を職人姿に見立て、ごちそうを前に三者がやりとりする構図になっています。恐ろしい自然現象や災害を人の姿に置きかえ、当時の人々が言いならしていたことわざと結びつけて表したものです。

ここで大切なのは、「親父」が単に一人の父親だけを指すとは限らない点です。昔の社会では、父親や家の主は家庭の中で強い権威をもち、子どもにとっては逆らいにくい存在でした。そのため、地震・雷・火事のような災いと並べて、身近で恐ろしい存在として語られたと考えられます。

一方で、「親父」はもともと「大山風」や「大風」のような強い風を表す言葉だったという説もあります。この説では、地震・雷・火事に続く四つ目も本来は自然災害であり、のちに音の近さから「親父」と理解されるようになったと説明されます。ただし、この説は広く語られる一方で、古い用例によって語源として確定できる段階にはなく、ことわざとしては「恐ろしいものの代表を並べた言い方」として理解するのが穏当です。

近代の文章では、太宰治の『思ひ出』(1933年)に「地震雷火事親爺、それ以上に怖い戦争が起ったなら」という形が出てきます。ここでは、昔から恐ろしいものの代表として知られる四つを持ち出したうえで、それ以上に戦争が恐ろしいものとして述べられています。ことわざが、単なる災害の列挙ではなく、「いちばん恐ろしいもの」を比べるための基準としても使われていたことが分かります。

さらに、沢村貞子の『私の浅草』(1976年)にも、「地震、かみなり、火事、おやじ」という形が出てきます。この用例では、災難を避ける話の中でこのことわざが用いられており、生活の中で恐ろしいものをまとめて言う、親しみのある表現として定着していたことが伝わります。

現在では、昔ほど「親父」を恐ろしい存在として受け止める感覚は弱くなっています。そのため、このことわざは現代の家庭観をそのまま表す言葉というより、昔の暮らしや価値観を映した言い方として読むのが自然です。それでも、地震・雷・火事のような大きな災いと、身近な権威への恐れを一息に並べた表現として、昔の人々が何を恐れていたのかをよく伝えることわざです。

「地震雷火事親父」の使い方

健太
防災の授業で、昔の人が怖いと思っていたものを調べることになったよ。地震や火事は、今でも本当に怖いね。
ともこ
うん。先生が、昔は地震雷火事親父ということわざで、恐ろしいものをまとめて言ったと教えてくれたよ!
健太
親父まで入るのが少し不思議だけど、昔は家の中で父親の力が強かったんだね。
ともこ
そうだね。ことわざを読むと、昔の暮らし方や考え方も見えてくるね。
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「地震雷火事親父」の例文

地震雷火事親父
  • 昔の町では火事が大きな災害になりやすく、地震雷火事親父という言葉が身近に感じられた。
  • 祖父は、子どものころに厳しい父親を恐れていた話をしながら、地震雷火事親父ということわざを口にした。
  • 木造の家が並ぶ時代には、地震雷火事親父の中でも火事は町全体をおびやかす恐ろしいものだった。
  • 雷の音におびえる弟を見て、父は昔から地震雷火事親父と言うほど雷は怖がられてきたと話した。
  • 防災訓練で地震と火事の危険を学び、地震雷火事親父という古い言葉の意味を改めて考えた。
  • 地震雷火事親父は、昔の人々が恐れた自然の災いと、家庭の中の厳しい存在を並べたことわざである。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。
・『鯰の生捕』1855年。
・太宰治『思ひ出』1933年。
・沢村貞子『私の浅草』1976年。





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