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【石に耳あり】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

石に耳あり

【ことわざ】
石に耳あり

【読み方】
いしにみみあり

【意味】
秘密の話は、思いがけないところから漏れやすいということ。だれも聞いていないと思っていても、話す場所や声には注意が必要だという戒め。

ことわざ博士
「石に耳あり」は、耳を持たない石までも話を聞いているかのように、秘密が漏れやすいことを表すことわざなんだよ。
助手ねこ
内緒話、うわさ話、重要な相談などを、不用意な場所で話す危うさをいう場面で用いるニャン。

【英語】
・Walls have ears(壁に耳あり/だれかに聞かれているかもしれない)

【類義語】
・壁に耳あり障子に目あり(かべにみみありしょうじにめあり)
・石の物言う世の中(いしのものいうよのなか)
・藪に耳(やぶにみみ)
・昼には目あり夜には耳あり(ひるにはめありよるにはみみあり)

【対義語】
・口が堅い(くちがかたい)

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「石に耳あり」の語源・由来

ことわざを深掘り

「石に耳あり」は、耳を持たないはずの石でさえ話を聞いているかのようにいう、強い比喩からできたことわざです。人がいないと思える場所でも、秘密はどこから漏れるか分からないという警戒の気持ちを表しています。

このことわざは、中国古典の特定の人物や出来事から生まれた故事成語ではなく、日本語の「壁に耳」「石の物言う」などの言い回しと同じ流れにある、秘密の漏れやすさを戒める言葉です。物を聞くはずのない壁や石を、人の耳や口になぞらえるところに特徴があります。

古い形としてよく知られるのが、「壁に耳あり」という言い方です。『平家物語(へいけものがたり)』(13世紀前半ごろ成立)には、危うい発言をしたあと、人々が「壁に耳あり」と恐れ合う場面が出てきます。

この場面では、後白河院(ごしらかわいん)のそばで、平家への批判につながりかねない言葉が出ます。人々は、だれが聞いているか分からないとして、不用意に口に出すことの危険を感じています。

石を使った近い表現には、「石の物言う」があります。これは、秘密が漏れやすいことのたとえで、「壁に耳」に続けて用いられることが多い言い方です。

『公武歌合』(1475年)には、「壁に耳あり」と「石の物いひ」が並ぶ形の用例が出てきます。ここでは、人に聞かれることや、よそのそしりが起こることを恐れる文脈で使われており、秘密や評判が外へ伝わる不安がはっきり表れています。

江戸時代に入っても、この発想は受け継がれました。『毛吹草(けふきぐさ)』(1645年・正保2年刊、松江重頼編)は、俳諧の作例や俚諺(りげん:世間で言い伝えられたことわざ)などを収めた書物として知られ、「石の物言う世の中」の出どころとして挙げられています。

さらに、『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』(1731年・享保16年初演、文耕堂・長谷川千四作)にも、「壁に耳石の物言ふ世の中」という形が出てきます。ここでは、口から出た不用意な言葉が災いを招くという文脈で、壁と石がともに秘密を漏らすもののように扱われています。

このような流れの中で、「石の物言う」は、石が口を持って話すように秘密が外へ出ることを表しました。一方、「石に耳あり」は、石が耳を持って聞いているように、だれもいない場所でも油断してはならないという方向を強めた言い方です。

「壁に耳あり障子に目あり」は、屋内での密談を戒める言葉として広く用いられます。それに対して「石に耳あり」は、道ばたや庭先の石にまで耳があるようにいうため、場所を選ばず、どこで話しても聞かれるおそれがあるという感じを出しやすい表現です。

現在の「石に耳あり」は、単に「秘密がばれる」という結果だけでなく、秘密を話す前に慎むべきだという教訓を含みます。人の悪口、まだ発表していない計画、だれかの個人的な事情などは、思わぬ相手の耳に入ることがあるため、軽々しく口にしないことが大切です。

「石に耳あり」の使い方

健太
明日のサプライズ送別会のプレゼント、廊下で相談してもいいかな。本人の妹が同じ階にいるけど、今はいないみたいだよ。
ともこ
石に耳ありだよ!昇降口は人の出入りが多いから、だれかに聞かれたら送別会の秘密が台なしになる。
健太
たしかに、声が大きいと別のクラスの子にも聞こえるね。空き教室で、先生にも場所を確認してから話そう。
ともこ
うん。みんなで喜ばせたいなら、秘密の話ほど場所と声の大きさに気をつけよう。
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「石に耳あり」の例文

例文
  • 石に耳ありというから、新商品の発表日が決まるまでは社内の廊下で大声で話さない。
  • 友だちの家庭の事情を休み時間に話すのは、石に耳ありで本人に伝わるおそれがある。
  • 石に耳ありを忘れて、部室の前で大会メンバーの変更を話したため、まだ知らせていない人に広まった。
  • 祖母は、人のうわさを軽く口にすると石に耳ありで思わぬ相手まで届くと注意した。
  • 転校する友人への寄せ書きは秘密にしていたのに、石に耳ありで本人の耳に入りそうになった。
  • 石に耳ありと思って、大事な相談は人通りの多い駅前ではなく、落ち着いた場所で話した。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・『平家物語』13世紀前半ごろ成立。
・『公武歌合』1475年。
・松江重頼編『毛吹草』1645年。
・文耕堂・長谷川千四『鬼一法眼三略巻』1731年。
・Cambridge University Press『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus』。





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