【ことわざ】
一度はままよ二度はよし
【読み方】
いちどはままよにどはよし
【意味】
悪事を初めて行うときは良心がとがめても、二度目からは平気で行うようになること。悪いことへの慣れと良心の麻痺を戒める言葉。


【英語】
・Habit is second nature(習慣は第二の性質になる)
・Once a thief, always a thief(一度盗みをした者は、また盗みをすると見られやすい)
【類義語】
・習い性となる(ならいせいとなる)
【対義語】
・悪は延べよ(あくはのべよ)
・君子危うきに近寄らず(くんしあやうきにちかよらず)
「一度はままよ二度はよし」の語源・由来
このことわざは、中国の古い故事から出たものではなく、「一度」と「二度」を対にして、人が悪事に慣れていく心の動きを戒める日本語の言い回しです。一度目は「ままよ」と成り行きにまかせるように悪事へ踏み出し、二度目には「よし」とばかりに平気になる、という形で、最初の一歩の危うさを強く示しています。
中心になる「ままよ」は、もとは「儘よ」とも書き、施すべき方策がなく、物事を成り行きにまかせるときに発する言葉です。「かまわない」「なるようになれ」「どうなろうとかってにしろ」という意味で、単独でも、「……ともままよ」「……とままよ」の形でも用いられてきました。
「まま」は「まにま」の音変化とされ、成り行きにまかせる意味をもつ言葉です。そこに助詞「よ」が付いた「ままよ」は、ただ自然に任せるというより、もう考えても仕方がないとして身を投げ出すような気分を帯びます。
古い用例として、『史記抄(しきしょう)』(1477年・室町時代中期、桃源瑞仙著)に「なんとあらうとも、ままよと云て、結句まわるひゃうしには」とあります。『史記抄』は中国の歴史書『史記』を当時の口語で講じた抄物(しょうもの)で、この例では、先の結果がどうであろうと「ままよ」と言って成り行きに任せる口ぶりが表れています。
江戸時代の浄瑠璃(じょうるり)にも、「ままよ」を含む言い回しが出てきます。『本朝二十四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』(1766年・江戸時代中期、近松半二・三好松洛・竹田因幡・竹本三郎兵衛ら合作)には、「夕べには、露の命も恋ゆゑならば、儘よてんぼの皮巾着」という用例があり、「儘よてんぽの皮」は、もうどうでもよい、どうなってもかまわないという意味で使われています。
このように「ままよ」は、室町時代から江戸時代にかけて、結果を考えず成り行きに任せる気持ちを表す言葉として使われてきました。その語感が、「一度はままよ二度はよし」では、悪いことに初めて手を出す瞬間の、良心のとがめを押し切る気持ちとして働いています。
一方、このことわざの後半にある「二度はよし」は、二回目にはためらいが弱まり、悪事を当たり前のように受け入れてしまう様子を表します。つまり、このことわざは「悪事そのもの」だけでなく、悪事に慣れていく心の変化を問題にしており、はじめの一度を軽く見てはいけないという戒めに結びついています。
現在の使い方でも、このことわざは、万引き、うそ、不正、約束破りなど、最初は気がとがめるのに、繰り返すうちに心が鈍くなる場面に合います。悪いことは二度目から急に軽く感じられることがあるため、一度目の前で立ち止まる大切さを教える言葉なのです。
「一度はままよ二度はよし」の使い方




「一度はままよ二度はよし」の例文
- 一度はままよ二度はよしというように、最初の小さな不正を軽く見ると、次第に罪悪感が薄れる。
- 友人の答えを一度だけ写したつもりが、一度はままよ二度はよしで、次の小テストでも同じことをしてしまった。
- 一度はままよ二度はよしを思えば、だれも見ていない場所でも約束を破らないことが大切だ。
- レジでおつりを多くもらったと気づいたとき、一度はままよ二度はよしにならないよう、すぐ店員に知らせた。
- 会社の記録を少しごまかす行為は、一度はままよ二度はよしとなり、大きな問題へ広がるおそれがある。
- 一度はままよ二度はよしという戒めは、悪い習慣の始まりを止めるための言葉である。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・桃源瑞仙『史記抄』1477年。
・近松半二・三好松洛・竹田因幡・竹本三郎兵衛ら『本朝二十四孝』1766年。























