「黔驢の技」の意味(出典・故事)
【ことわざ】
黔驢の技
【読み方】
けんろのわざ
【意味】
稚拙な腕前を自覚せずに披露して恥をかくこと。また、見かけ倒しの劣った腕前や技量のこと。
見た目や大げさな言葉でごまかしても、本当の腕前はちゃんと見えてしまうんやな。これは、自分の能力を正しく理解して、無理せんとこっちゃないってことやな。
【出典】
「柳宗元-三戒」
【故事】
驢馬のいない黔州に驢馬を連れて行き放したところ、虎は最初は驢馬の大きさに驚き恐れたが、徐々に近づき怒った驢馬に蹴られた。そこで虎は驢馬の力のなさを見破り食い殺したという故事から。
「黔驢の技」の解説
「黔驢の技」という言葉は、自分があまりうまくない技や能力を自分は上手だと思って見せちゃって、結果的に恥ずかしくなることを指すんだよ。それか、見た目はいいけど、実際の腕前や技量はあまりよくないことを言うんだ。
「黔」っていうのは、昔の中国の地名で、今は「貴州省」という場所になっているんだ。「驢」はろばっていう動物を指すよ。「技」は「わざ」とも読むんだよ。
この言葉の背景には、ちょっと面白い話があるんだ。ある人が、ろばがいない黔州っていう場所に、ろばを連れてきたんだ。その人は山のふもとでろばを放して、そこにいたトラは、大きなろばを見て最初はビビったんだ。でも、トラがろばに近づいてみたら、ろばがトラを蹴ったんだけど、その蹴りが弱くて、トラは「あ、このろば大したことないな」と気づいて、結局、トラがそのろばを食べちゃったんだ。
この話から、ろばは大きくて強そうに見えたけど、実際は弱かったってことが伝わるよね。だから、この言葉は、見た目だけで中身が伴わない、または自分のできないことを大きく見せちゃって恥をかくことを教えてくれるんだよ。
「黔驢の技」の使い方
「黔驢の技」の例文
- 家族は気をつかっておいしいと言ってくれていたようで、友人に手料理をふるまったらしかめっ面をされて黔驢の技だった。
- 音楽や演出が派手なだけで、彼の手品の腕前は黔驢の技だ。あんなの誰でもできる。
- しゃべりでごまかしているが、彼女のバイオリンは黔驢の技でストラディバリウスを持つにふさわしくない。
- 井の中の蛙だったので、黔驢の技で恥をかいた。
- すごそうに見えるけど黔驢の技なんだ。実はたいしたことはない。
要するに、見栄を張って他人に自分の能力を見せようとするけど、実際はその能力が低いことがばれてしまう、という警告の言葉なんだ。