【ことわざ】
二度あることは三度ある
【読み方】
にどあることはさんどある
【意味】
同じようなことが二度続けて起こると、もう一度繰り返されやすいということ。特に、よくないことが続いたとき、三度目に備えて用心せよという戒め。


【英語】
・Bad things come in threes(悪いことは三つ続く)
【類義語】
・一度ある事は二度ある(いちどあることはにどある)
・一災起これば二災起こる(いっさいおこればにさいおこる)
【対義語】
・三度目の正直(さんどめのしょうじき)
・柳の下にいつも泥鰌はおらぬ(やなぎのしたにいつもどじょうはおらぬ)
「二度あることは三度ある」の語源・由来
「二度あることは三度ある」は、同じような出来事が二回続くと、人はそれを偶然とは受け止めにくくなり、三回目を警戒する、という暮らしの感覚から生まれたことわざです。現在の意味は、二度あったことはもう一度繰り返されるものだ、という考えを表し、とくに好ましくない出来事について、用心を促す形で使われます。
このことわざの「二度」と「三度」は、単なる回数の説明にとどまりません。「一度だけなら偶然かもしれないが、二度続けば三度目もあり得る」と身構える心の動きを、短く覚えやすい形にまとめています。実際に必ず三度目が起こるという決まりではなく、危険や失敗を軽く見ないための、経験にもとづく戒めとして働きます。
古い用例としては、江戸時代後期の浄瑠璃『白井権八幡随長兵衛驪山比翼塚』(1779年・安永8年、源平藤橘ほか作)が重要です。この作品は、白井権八と幡随長兵衛を角書に持つ浄瑠璃で、出版年は1779年、著者は源平藤橘ほかと伝わります。書誌には、森羅萬象改、源平藤橘、海一沫、吉田鬼眼、達田辨二の名が本文末に記されていることが分かります。
この『驪山比翼塚』には、「二度あることは三度めの、己と報ふお主の罪」という形の用例があります。ここでは、ある罪や報いが一度きりで終わらず、繰り返し起こるものとして受け止められています。現在の「二度あることは三度ある」と完全に同じ形ではありませんが、「二度あること」が「三度目」へつながるという発想は、すでにこの時期に表現としてまとまっていたことが分かります。
また、近い考えをもつ言い方として、近松門左衛門の浄瑠璃『心中万年草』(1710年・江戸時代中期)には「一さいおこれば二さいおこる」という用例があります。これは、一つ災いが起これば、別の災いを呼び起こすという意味です。「二度あることは三度ある」と同じ形ではありませんが、悪いことは重なりやすいという考えが、江戸時代の浄瑠璃の中でことわざ的に表されていた例といえます。
近代以降にも、このことわざは文学作品の中で使われました。谷崎潤一郎の『細雪』(1943〜1948年)には、「二度あることは三度である」という形が出てきます。ここでは、以前のよくない記憶が残っているため、また同じようなことが起こるのではないかと感じる場面で使われています。
高見順の『いやな感じ』(1960〜1963年)にも、「一度ありゃ二度ある」「二度あったことは三度……?」という会話が出てきます。二度続いた出来事を、三度目の前ぶれとして受け取る言い方であり、現在の用法に近い、警戒や不安を表す使い方です。
このことわざには、言葉だけでなく、三度目の災いを避けようとする風習とも結びついた面があります。かつては、同じ一族で二人続けて亡くなったとき、三人目の死者の代わりとして人形を葬ることや、醤油を二度こぼしたときに、あえてもう一度少しだけこぼすことが各地にあったといいます。こうした風習は、三度目の災いをそのまま待つのではなく、小さな形で済ませようとする考えにもとづいています。
現在の「二度あることは三度ある」は、迷信として三度目を恐れるためだけの言葉ではありません。失敗や事故が続いたとき、「また起こるかもしれない」と考えて点検し、準備し、同じ失敗を防ごうとするための言葉です。つまり、このことわざは、未来を決めつける言葉ではなく、くり返しを防ぐために心を引き締める言葉として受け継がれています。
「二度あることは三度ある」の使い方




「二度あることは三度ある」の例文
- 二度あることは三度あるというから、同じ道で転ばないよう足元をよく見た。
- 二回続けて弁当を忘れた兄は、二度あることは三度あると思い、前の晩に準備した。
- 会議で同じ資料ミスが続いたため、二度あることは三度あると考えて確認の手順を増やした。
- 自転車の鍵をなくしたのは二回目なので、二度あることは三度あると用心して予備の置き場所を決めた。
- 祭りの準備で連絡もれが続き、二度あることは三度あると役割表を作り直した。
- 二度あることは三度あるという気持ちで、雨の大会に備えて替えの靴下を持っていった。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・森島中良・海一沫・吉田鬼眼・達田辨二ほか『白井権八幡随長兵衛驪山比翼塚』1779年。
・近松門左衛門『心中万年草』1710年。
・谷崎潤一郎『細雪』1943〜1948年。
・高見順『いやな感じ』1960〜1963年。























