「掌中の珠」の意味(語源由来・類義語・英語訳)
【ことわざ】
掌中の珠
【読み方】
しょうちゅうのたま
【意味】
最愛の子など大事なもののたとえ。
「珠」とは真珠のこと。ここでは「珠玉」の意味。
親が子供を見る目や、夫婦の愛情みたいな、ほんまに大事にしたいものや人のことを、この言葉で表してるんやな。ほんまに大事なものは、外でなくて、自分の心の中にあるってことやな。
【語源・由来】
傳玄の詩『短歌行』の「昔、君、我を視ること掌中の珠の如し、何の意か一朝にして我を溝渠に棄つるや」に基づく。
【類義語】
・手中の珠
・掌上明珠
【英語訳】
the prize within one’s grasp
「掌中の珠」の解説
「掌中の珠」ということわざはね、文字通りには「手のひらにある宝石」って意味だよ。でも、実際には大切なものや大事なものを表しているんだ。
たとえば、自分にとってとても大切なもの、例えば、最愛の子どもや奥さん、または自分の心に近い大事なものを、手のひらにある宝石のように大切に扱うっていう感じだね。このことわざを使うときは、その人が何かをとても大事に思っている、とても愛しているっていう気持ちを表現しているんだよ。
「掌中の珠」の使い方
「掌中の珠」の例文
- 掌中の珠のようにかわいがって育てた娘が嫁に行ったので、心にぽっかり穴が開いたような気分です。
- 彼にとっておそらく掌中の珠のように愛しんできた妻だったのだろう。
- 人々は、色をなして、掌中の珠でも傷つけられたかのような不安をみなぎらせた。
- 掌中の珠のように思ってきた娘が、会社の上司の言葉に深く傷つきこの世を去ってしまった。
- 彼にとって娘は掌中の珠のようなもので、目の中に入れても痛くない存在だった。
「掌中の珠」の文学作品などの用例
私たちがどうしてあの優しき、善き父に不平を抱くことが出来よう。父が私たちを労苦に鍛えることの出来なかったのはそのあふるる溺愛のためであった。世間の塵にしませなかったのはみすみす掌中の玉が汚すに忍びなかったからだ。(倉田百三の光り合ういのちより)
まとめ
近所に住む方が、掌中の珠のように育てた金魚をあらいぐまに食べられてしまったと嘆いていた。確かに、その家の玄関にいた金魚は珠のように丸々と太り可愛かった。でも、近年、害獣扱いされているあらいぐまは、もともと日本にいなかったので、掌中の珠のようにペットとして飼われていたものだったはずである。何らかの事情で、飼えなくなってあらいぐまを置き去りにした人は、こんなに繁殖して誰かに迷惑をかけるなど少しも考えなかっただろう。掌中の珠のようなペットは死に別れる時がくるまでは、自分勝手に放り出してはいけないのである。