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【古を以て今を制する者は事の変に達せず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

古を以て今を制する者は事の変に達せず

【故事成語】
古を以て今を制する者は事の変に達せず

【読み方】
いにしえをもっていまをせいするものはことのへんにたっせず

【意味】
昔のやり方だけで今の物事を処理しようとする者は、時代や状況の変化を正しく理解できないということ。

ことわざ博士
「古を以て今を制する者は事の変に達せず」は、古いしきたりや前例にとらわれすぎる危うさを戒める故事成語なんだよ。
助手ねこ
制度、仕事、学習、組織運営などで、今の状況に合う方法を考える必要がある場面で用いるニャン。

【英語】
・New occasions teach new duties(新しい状況は新しい務めを教える)

【類義語】
・舟に刻して剣を求む(ふねにこくしてけんをもとむ)
・株を守って兎を待つ(しゅをまもってうさぎをまつ)

【対義語】
・臨機応変(りんきおうへん)
・故きを温ねて新しきを知る(ふるきをたずねてあたらしきをしる)

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「古を以て今を制する者は事の変に達せず」の故事

故事成語を深掘り

この故事成語は、中国戦国時代の趙(ちょう)の武霊王(ぶれいおう)が進めた「胡服騎射(こふくきしゃ)」の改革に関わる言葉です。武霊王は、北方民族の服装を取り入れ、馬に乗って弓を射る戦い方を学ばせて軍制を改めた王として知られています。

出典となる『戦国策(せんごくさく)』は、前漢末の劉向(りゅうきょう)が編んだ三十三巻の史書で、戦国時代に諸国を遊説した人々の策や言葉を国別に集めています。この言葉は、その中の「趙策二」に収められた「武霊王平晝閒居」の話に出てきます。

当時の趙は、北方の胡や中山などに接する国で、従来の中原風の衣服や戦い方だけでは、国境地帯の戦いに十分対応しにくい状況にありました。『戦国策』では、武霊王が「胡服騎射」を行い、北方の地に備えようと考えたことが語られています。

しかし、この改革には強い反対がありました。公子成は世間の聞き慣れた考えを述べ、趙文や趙造も、古い礼や服制を変えることを心配して王に意見しました。彼らは、先王以来の教えや中国の習俗を変えることを、国を乱すおそれのある行いとして受け止めていました。

武霊王は、その反対に対して、古今では習俗が同じではなく、帝王も同じ礼をそのまま踏襲してきたわけではない、と説きます。そして、三王の時代にも時を見て法を定め、事に応じて礼を作ったのであり、法度や衣服、器械はそれぞれの時代と用途に合うものでなければならない、と述べます。

その流れの中で出てくるのが、「以書為御者,不盡於馬之情。以古制今者,不達於事之變。」という一節です。書物だけを頼って馬を御する者は馬の性質を尽くして知ることができず、古い方法だけで今を治めようとする者は物事の変化に通じない、という意味です。

このたとえの前半は、馬を扱うには、書物の知識だけでなく、目の前の馬の動きや気質を見きわめる必要があるという内容です。後半の「以古制今者,不達於事之變」は、それと同じように、政治や制度も古い型だけで決めてはならず、今起きている変化をよく見なければならない、という考えにつながっています。

同じ話は、前漢の司馬遷が著した『史記(しき)』「趙世家」にも出てきます。『史記』は、黄帝から前漢武帝までを扱う紀伝体の史書で、「趙世家」には、武霊王が反対を受けながらも胡服騎射を採用し、その後に中山や北方の地を攻略して国勢を強めたことが記されています。

『史記』では、この言葉のあとに「法古之學,不足以制今」、つまり古いものにだけのっとる学びでは今を治めるのに足りない、という趣旨の言葉が続きます。これは、古い知恵をすべて否定するのではなく、古い型をそのまま当てはめるだけでは、変化する現実に届かないという考えを示しています。

現在の「古を以て今を制する者は事の変に達せず」は、昔を学ぶことを軽んじる言葉ではありません。先人の経験を大切にしながらも、今の社会、今の人々、今の条件に合う方法を考えなければ、よい判断にはならないという戒めを表す故事成語です。

「古を以て今を制する者は事の変に達せず」の使い方

健太
僕たちのサッカーチームの作戦、ずっと何十年も前の先輩たちが作った伝統のフォーメーションを頑なに守っているんだよ。
ともこ
伝統があるのは素敵だけど、最近の相手チームはみんな最新のスピードサッカーをしてくるから、なかなか勝てないんじゃない?
健太
うん、実は昨日も大負けしちゃって……。でも、伝統のやり方を少しでも変えるのはいけないことだって、みんな言うんだ。
ともこ
古を以て今を制する者は事の変に達せず、という言葉があるよ!今の相手に合わせて作戦を柔軟に変えないと、いつまで経っても勝てないと思うな。
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「古を以て今を制する者は事の変に達せず」の例文

例文
  • 紙の帳簿だけにこだわって業務が滞るなら、古を以て今を制する者は事の変に達せずというべきだ。
  • 昔の成功例をそのまま新しい市場に当てはめるのは、古を以て今を制する者は事の変に達せずに近い。
  • 学校の決まりも、児童の安全や生活の変化を見ずに守るだけでは、古を以て今を制する者は事の変に達せずとなる。
  • 祖父は伝統を大切にしながらも、古を以て今を制する者は事の変に達せずと言って新しい農機具を取り入れた。
  • 災害への備えは過去の経験だけでなく最新の情報も必要で、古を以て今を制する者は事の変に達せずである。
  • 会社が若い世代の働き方を無視して古い制度に固執すれば、古を以て今を制する者は事の変に達せずという結果になる。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・劉向編『戦国策』前漢。
・司馬遷『史記』前漢。
・James Russell Lowell『The Present Crisis』1845年。





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