【ことわざ】
犬も朋輩鷹も朋輩
【読み方】
いぬもほうばいたかもほうばい
【意味】
役目や地位、受ける扱いが違っていても、同じ主人や同じ目的のもとにいる者は、同じ仲間であるというたとえ。


【英語】
・We’re all on the same team.(私たちはみな同じ仲間だ)
【類義語】
・鷹も朋輩犬も朋輩(たかもほうばいいぬもほうばい)
「犬も朋輩鷹も朋輩」の語源・由来
「犬も朋輩鷹も朋輩」は、鷹狩りの場面をもとにしたことわざです。鷹狩りでは、鷹は獲物を捕らえる役を担い、犬は獲物を発見したり追い立てたりする役を担いました。役目は違っても、どちらも同じ主人のために働く存在でした。
「朋輩(ほうばい)」は、同じ主人・家・師などに仕える同僚、または仲間を指す言葉です。古くは「傍輩」とも書かれ、「朋」は当て字として用いられます。このことわざでは、犬と鷹を、それぞれ身分や待遇の違う者にたとえ、同じ主人のもとにいるなら仲間である、という考えを表しています。
鷹狩りのしくみを考えると、このたとえの意味がよく分かります。鷹は主人の腕に据えられ、特別に訓練され、獲物を捕る中心的な役を務めます。一方、犬は草むらや野にいる獲物を見つけたり、動かしたりして、鷹が働けるようにします。表に出る役と支える役とでは違いがありますが、どちらが欠けても狩りは成り立ちません。
この言い方の古い用例として、浄瑠璃(じょうるり)『賀古教信七墓廻(かこのきょうしんななはかめぐり)』(元禄ごろ、近松門左衛門作・竹本筑後掾正本)に、「かふいふ我も御扶持人、犬もはうばいたかもはうばい」という形が出てきます。ここでの「御扶持人」は、主君から扶持を受けて仕える者を指し、身分や役目が違っても、同じ主人に仕える仲間である、という文脈でこの表現が使われています。
この古い用例では、「朋輩」が「はうばい」とかな書きで出てきます。現代では、「犬も朋輩鷹も朋輩」と漢字を交えた形で書くことが多くなりましたが、表している考えは変わりません。犬と鷹の扱いの差を示しながら、同じ主人につながっている点を強調するところに、このことわざの骨組みがあります。
後には、「鷹も朋輩」という短い形も用いられました。雑俳『川傍柳』(1780〜1783年)には、「鷹も朋輩だのに恥辱をあたへ」という用例があり、同じ仲間であるはずなのに相手を辱める、という文脈で使われています。この形からも、鷹狩りそのものを説明するだけでなく、人間関係の中で、同僚や仲間をどのように扱うべきかをいう表現として広がっていたことが分かります。
現在の「犬も朋輩鷹も朋輩」は、身分制度のある時代の主従関係に限らず、学校の係、部活動、職場、地域活動などにも用いられます。リーダー、裏方、経験者、初心者のように立場や役目が違っても、同じ目的のために動いているなら、仲間として尊重するという意味で生きていることわざです。
「犬も朋輩鷹も朋輩」の使い方




「犬も朋輩鷹も朋輩」の例文
- 舞台に立つ役と照明を担当する役は違うが、犬も朋輩鷹も朋輩で、どちらも劇を支える大切な仲間だ。
- 経験のある選手も入ったばかりの選手も、犬も朋輩鷹も朋輩の気持ちで練習に参加した。
- 会社では役職の違いがあっても、同じ計画を進める以上、犬も朋輩鷹も朋輩として力を合わせる必要がある。
- 地域の祭りでは、太鼓を打つ人も道具を運ぶ人も、犬も朋輩鷹も朋輩で同じ目的に向かって働いた。
- 班長だけがえらいのではなく、記録係や発表係も犬も朋輩鷹も朋輩として尊重されるべきだ。
- 立場の違いで相手を軽く見るのではなく、犬も朋輩鷹も朋輩と考えて協力することが大切だ。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館、1984〜1994年。
・平凡社『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。
・近松門左衛門『賀古教信七墓廻』元禄ごろ。























