「春宵一刻値千金」の意味(出典・類義語・英語訳)
【ことわざ】
春宵一刻値千金
【読み方】
しゅんしょういっこくあたいせんきん
【意味】
花は香り、月はおぼろな春の夜の一時は、まことに趣が深く、千金にも換えがたい。
春の夜の趣深さや、その時の美しい景色や感じられる感情を大切にする考え方を示してる言葉や。自然の美しさや、その瞬間瞬間の価値を大事にする文化やね。時間の中にある美しさや価値を感じさせる言葉やな。
【典拠・出典】
蘇軾「春夜」から。
【類義語】
・一刻千金
【英語訳】
a moment of time in a spring evening is worth a thousand pieces of gold
「春宵一刻値千金」の解説
「春宵一刻値千金」という言葉は、中国の詩人蘇軾(そしょく)の詩「春夜」から来ているんだ。この言葉は、春の夜の一瞬が非常に貴重で、千金にも換え難いほどの価値があるという意味を持っているんだよ。
この表現は、春の夜が持つ美しさや趣深さを称賛していて、その時期特有の香りや月の美しさなど、春の夜の魅力が非常に大きいことを示しているんだね。春の夜が持つ独特の雰囲気や、その瞬間を楽しむことの大切さを教えてくれる言葉なんだ。
たとえば、花が咲き乱れ、月がぼんやりと美しい春の夜を過ごすことは、金銭では買えない価値のある経験だと言えるよ。「春宵一刻値千金」は、季節の美しさを感じ取り、その一瞬一瞬を大切にすることの重要性を示しているんだ。自然の美しさや、その瞬間の価値を心から味わうことの素晴らしさを教えてくれる言葉なんだね。
「春宵一刻値千金」の使い方
「春宵一刻値千金」の例文
- 春宵一刻値千金の時期となりました。ご家族の皆様はお元気でしょうか。
- 春のころ、会社の帰り道でふわっと良い風が吹いたので、疲れていたが、春宵一刻値千金だなと心地よくなった。
- 桜の下で、ぼんやりした空を見上げていると春宵一刻値千金が思い出され、人間って国境を越えても感じることは同じなんだなとしみじみ思った。
- 春宵一刻値千金、眠るのがもったいないくらいだが、明日に備えて寝るしかない。
- 春宵一刻値千金というが、あまりに気持ちの良い夜で、冬の寒さに縮こまっていたからだの隅々が伸びる思いだった。
「春宵一刻値千金」の文学作品などの用例
「いよいよ、春になったね。燕も来た。」 言はなくたっていい事である。お婆さんも息子も、黙っている。「春宵一刻、価千金、か。」と、また、言はなくてもいい事を呟いてみる。(太宰治のお伽草子より)
まとめ
蘇軾は、高殿の宴会から意中の女性を連れて中庭に抜け出した。暑くも寒くもない、とてもいい気持ちの春の宵だ。 霞んだ月のおかげで回りからは見られる心配もないし、女性の髪の甘い匂いにうっとりする。先ほどまでの宴会も、いつのまにか終ったようだ。ふたりブランコで寄り添い、愛を語らいながら、ずっとこうしていたいなあ。という素敵な恋の句で、日本では春の夜の素晴らしさをあらわす句であるが、中国ではほとんどが男女の恋情をあらわすときに使われる。蘇軾はほかにも中華料理でブタのバラ肉を蒸した東坡肉(トンポーロー)を考案してその名を今に残している。
花の香りやおぼろ月が作り出す春の夜の美しさと情緒を評価する表現なんだ。