【ことわざ】
一度焼けた山は二度は焼けぬ
【読み方】
いちどやけたやまはにどはやけぬ
【意味】
一度災難に遭ったら、同じ災難には二度と遭わないものだとして、災難に遭った人を慰める言葉。


【英語】
・Lightning never strikes twice in the same place(同じ人や同じ場所に、めったにない出来事は二度起こらない)
【類義語】
・一度死ねば二度死なぬ(いちどしねばにどしなぬ)
【対義語】
・一災起これば二災起こる(いっさいおこればにさいおこる)
・一度あることは二度ある(いちどあることはにどある)
・一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
「一度焼けた山は二度は焼けぬ」の語源・由来
このことわざは、山火事に遭った山のありさまをもとにして、災難を受けた人を慰める表現として成り立っています。一度燃えた山は、草木や落ち葉など燃えるものを失うため、すぐまた同じように燃えることはない、という見方がたとえの土台になっています。
火が燃えるには、可燃物・酸素・熱の三つの条件が必要です。山が焼けたあとには、少なくともその場所の燃える材料が大きく減るため、「一度焼けた山は、もう同じようには焼けにくい」という発想が生まれやすくなります。
ここでいう「山」は、ただの土地ではなく、草木が茂り、火が広がるだけの燃えるものを含んだ山です。その山が「一度焼けた」と言うことで、すでに大きな災いを受けた状態を表し、「二度は焼けぬ」と続けることで、同じ災いは重なって来ないだろうという慰めへ移ります。
末尾の「焼けぬ」の「ぬ」は、現代語の「焼けない」にあたる打消しの言い方です。「ぬ」は、共通語では主に文語的な表現や慣用句的な表現に残る形で、このことわざにも古風で引きしまった響きを与えています。
このことわざの中心は、「災難は必ず二度と来ない」と事実を保証することではありません。災いに遭った人の気持ちを少しでも軽くし、「もう同じ目には遭わないと思って、前を向こう」と励ますところにあります。
同じ「一度」「二度」を用いる表現でも、「一度あることは二度ある」や「一災起これば二災起こる」は、災いが重なることへの警戒を表します。それに対して、「一度焼けた山は二度は焼けぬ」は、災いを受けたあとに悲しみすぎないようにする、反対向きの心の支えとして使われます。
したがって、このことわざは、災難を軽く見たり、用心をやめたりするための言葉ではありません。すでに苦しい経験をした人に向けて、同じ不幸ばかりを恐れず、落ち着いて立て直していくように促す慰めのことわざです。
「一度焼けた山は二度は焼けぬ」の使い方




「一度焼けた山は二度は焼けぬ」の例文
- 台風で倉庫の屋根が傷んだが、補強も済んだので、一度焼けた山は二度は焼けぬと考えて落ち着きを取り戻した。
- 大切な試合でけがをした友人に、一度焼けた山は二度は焼けぬと言って、次の練習を怖がりすぎないよう励ました。
- 店の看板が強風で倒れたあと、固定を見直したので、一度焼けた山は二度は焼けぬという気持ちで営業を再開した。
- 旅行中に財布をなくした兄は、管理の仕方を改め、一度焼けた山は二度は焼けぬと自分に言い聞かせた。
- 発表会で機材の故障に見舞われたが、予備を用意した今は、一度焼けた山は二度は焼けぬと前向きに準備できる。
- 一度焼けた山は二度は焼けぬという言葉は、災難に遭った人をむやみに責めず、心を立て直すために用いる。
主な参考文献
・臼田甚五郎監修『ことわざ辞典』日東書院、1971年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・Merriam-Webster, 『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster, 2026年参照。
・東京消防庁『第5章 火災の予防』。























