【ことわざ】
稼ぎ男に繰り女
【読み方】
かせぎおとこにくりおんな
【意味】
外でよく働いて稼ぐ男と、家を守り、家事や家計をうまくやりくりする女をいう言葉。かつての夫婦の役割分担を表す。


【英語】
・Men make houses, women make homes.(男は家を作り、女は家庭を作る)
【類義語】
・男は外回り、女は内回り(おとこはそとまわり、おんなはうちまわり)
「稼ぎ男に繰り女」の語源・由来
「稼ぎ男に繰り女」は、男が外へ出て働き、女が家の中をうまく切り盛りするという、昔の夫婦観を言い表したことわざです。「稼ぎ」は、収入を得るために働くことや、その仕事を指します。
「繰り女」の「繰り」は、ここでは「やりくり」や「繰り回し」に通じる言葉です。「やりくり」は、不十分なものを工夫して都合をつけることを意味し、金銭や暮らしの段取りを整える働きを表します。
「繰り回し」も、金銭などの都合をつけてやりくりすることを指します。そのため、「繰り女」は、単に家にいる女性というだけでなく、限られた収入や物を上手に回し、家の暮らしを保つ女性を表す言い方です。
このことわざには、外で収入を得る働きと、家の中で支出や家事を整える働きの二つを対にする見方があります。収入だけでも、やりくりだけでも暮らしは安定しにくく、両方がそろって家庭が保たれるという考え方が含まれています。
古い用例として、三代目柳家小さんの落語『閉込み』(1897年・明治時代)に、「稼ぎ男にやりくり女といって女の繰り廻しにあるのだよ」という形が見えます。ここでは、「繰り女」に近い「やりくり女」という言い方で、家の暮らしは女の取り回しにかかっているという文脈で使われています。
この用例から、明治時代には「稼ぎ男」と「やりくり女」を対にして、夫婦の働きを述べる言い方がすでに使われていたことが分かります。のちに、「やりくり女」の意味を短く含む形として、「繰り女」という表現がことわざの形にまとまったと考えられます。
「稼ぎ男に繰り女」は、生活の知恵を述べることわざである一方、男女の役割をはっきり分ける昔の考え方も含んでいます。現代では、男だから外で働く、女だから家を守ると決めつける言葉としてではなく、昔の家庭観を表すことわざとして理解するのが大切です。
現在の使い方では、夫婦や家族がそれぞれの得意な役割を生かし、暮らしを支える場面を説明するときに使われます。ただし、性別で役割を固定する印象を与えやすいため、現代の文章では、昔の価値観を含む言葉であることを意識して用いられます。
「稼ぎ男に繰り女」の使い方




「稼ぎ男に繰り女」の例文
- 祖父母は、祖父が店で働き、祖母が家計を上手に回す、稼ぎ男に繰り女のような夫婦だった。
- 父が収入を増やし、母が支出を細かく見直したので、稼ぎ男に繰り女の力で家計が落ち着いた。
- 昔の家庭を描いた物語では、稼ぎ男に繰り女という考え方がよく表れている。
- 小さな店を続けられたのは、夫の働きと妻の切り盛りが合わさった、稼ぎ男に繰り女の暮らしだったからだ。
- 稼ぎ男に繰り女という言葉には、収入を得る働きと家を守る働きの両方を重んじる考えがある。
- 現代で稼ぎ男に繰り女を使うときは、性別で役割を決めつける意味にならないよう注意が必要だ。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。























