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【瑕瑜相揜わず】の意味と使い方や例文!故事は?(英語)

瑕瑜相揜わず

【故事成語】
瑕瑜相揜わず

【読み方】
かゆあいおおわず

【意味】
人や物の長所と短所が、互いに隠されることなく、どちらもありのままに現れること。

ことわざ博士
瑕は玉の傷から欠点を、瑜は玉の美しい部分から長所を表すよ。
助手ねこ
人物・作品・制度などを、良い点だけにも悪い点だけにも偏らず評価する場面に用いるニャン。

【英語】
・warts and all.(欠点も含めて、ありのままに)

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「瑕瑜相揜わず」の故事

故事成語を深掘り

「瑕瑜相揜わず」は、中国の古典『礼記(らいき)』の「聘義」にある「瑕不揜瑜、瑜不揜瑕」という言葉にもとづきます。「玉の傷は美しい部分を隠さず、美しい部分も傷を隠さない」という意味です。

『礼記』は、周末から秦・漢にかけて説かれた礼に関する考えを集めた書物です。現在の四十九篇から成る本文は、前漢の学者である戴聖が整理したものと伝わりますが、その成立過程には異説もあります。

「聘義」には、孔子の弟子である子貢が、なぜ君子は玉を尊び、玉に似た石を軽く見るのかと尋ねる場面が出てきます。子貢は、玉の数が少なく、似た石が多いからではないかと考えました。

孔子は、玉が尊ばれるのは珍しいからではなく、昔の君子が玉の性質にさまざまな徳を重ねたからだと答えます。玉の温かく潤った光沢を「仁」、きめが細かく堅い性質を「知」、角がありながら人を傷つけないことを「義」にたとえています。

さらに、玉を下げると垂れる姿を「礼」に、たたいたときの清く長い音と、その音がきっぱりと止まることを「楽」にたとえます。玉は、見た目の美しさだけでなく、その性質の一つ一つが君子の徳を思わせるものとして語られています。

その中に、「瑕不揜瑜、瑜不揜瑕、忠也」とあります。玉の傷は美しいところを覆い隠さず、美しいところも傷を覆い隠さないので、それが「忠」に当たるというのです。

「瑕」は、もともと玉にある小さな傷や赤い斑点を指し、そこから欠点や過ちを表すようになりました。「瑜」は玉の美しいところや光彩を指し、長所や美点のたとえとなりました。

「揜」は、ここでは覆い隠すという意味で、「掩」に通じます。したがって、「相揜わず」は、欠点と美点のどちらか一方が、もう一方を見えなくしてしまうことがないという意味です。

後漢の鄭玄は、この箇所について、玉はよいところも悪いところも互いに隠さないので、忠実な人に似ていると注しています。玉の内にあるものがそのまま外に現れる点を、人の誠実さに結び付けた解釈です。

唐代の孔穎達も、玉の傷も美しい部分も、ともに外からはっきり分かることを、人の忠実な心が表に現れることに重ねています。ここでいう「忠」は、君主に仕えることだけではなく、心の内を偽らず、ありのままに表す真実さを含んでいます。

日本語の「瑕瑜相揜わず」は、原文の「瑕不揜瑜」と「瑜不揜瑕」という二つの句を、「瑕瑜」と「相揜わず」にまとめた形です。傷と美点とが互いに隠し合わないという、原文の両方向の関係を簡潔に表しています。

唐代には、武翊黄が「瑕瑜不相掩」という題の詩を作っています。その詩にも、美しさと傷とは別々のものとして明らかになり、包み隠すことは忠とはいえないという、『礼記』の考えを受け継ぐ内容が詠まれています。

後には、原文の前半だけを取った「瑕不掩瑜」が、欠点があっても長所の価値は失われないという意味で使われました。反対に「瑜不掩瑕」は、長所があっても欠点を覆い隠すことはできないという意味で使われています。

また、「瑕瑜互見」という形も生まれ、長所と短所とがともに存在し、どちらも表に現れていることを表すようになりました。これらの言い方の中でも、「瑕瑜相揜わず」は、よいところだけを褒めることにも、悪いところだけを責めることにも偏らず、両方を隠さず示すという原文の趣旨をよく保っています。

「瑕瑜相揜わず」の使い方

ともこ
学級新聞に運動会の反省を書くけれど、成功したことだけを載せればいいのかな?
健太
綱引きの作戦がうまくいったことも、集合に時間がかかったことも書こうよ。良いところだけでは、来年の役に立たないよ。
ともこ
瑕瑜相揜わずだね。長所も短所も隠さず、ありのままに伝える新聞にしよう!
健太
うん。誰かを責めるためではなく、次の運動会をもっとよくするためにまとめよう。
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「瑕瑜相揜わず」の例文

例文
  • その評伝は、偉大な功績だけでなく判断の誤りも記し、瑕瑜相揜わずの姿勢を貫いた。
  • 新製品の紹介では、便利な機能も使いにくい点も述べ、瑕瑜相揜わずの評価を心掛けた。
  • 先生は作品の優れた表現と改善すべき箇所をともに挙げ、瑕瑜相揜わずの講評を行った。
  • 会社の報告書は、好調な事業だけでなく失敗した計画も扱い、瑕瑜相揜わずの内容となった。
  • 自分の一年を振り返るときは、瑕瑜相揜わずの態度で、成長した点と不足した点を確かめたい。
  • 歴史上の人物を学ぶには、功績だけをたたえず、瑕瑜相揜わずの視点から行動の全体を見る必要がある。

主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・白川静『字通 普及版』平凡社、2014年。
・戴聖編と伝わる『礼記』前漢時代。
・鄭玄注、孔穎達疏『礼記注疏』後漢・唐代。
・武翊黄「瑕瑜不相掩」唐代。





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