「似て非なるもの」の意味(語源由来・出典・英語訳)
【ことわざ】
似て非なるもの
【読み方】
にてひなるもの
【意味】
いかにも道理に合っているようだが、実は正しくないもののこと。
また、一見似ているが、実は違うもののことをいう。
これは、物事を深く見ること、本質を見極めることの大切さを教えてくれる言葉やな。見た目だけじゃなく、中身もしっかり見なあかんってことや。
【語源・由来】
孔子のことばに「わたしは外見は似ているが本質は違っているものを憎む。
わたしが稗(ひえ)を憎むのは、それが粟の苗を、乱すのを恐れるからである。」とある。
【出典】
『孟子(戦国時代の儒学者)・尽心篇』
【英語訳】
・Similar but different
・They are alike in appearance but quite different in nature.
「似て非なるもの」の解説
「似て非なるもの」という表現は、外見上は似ているが、本質や内実は全く異なるという意味を持っているんだ。この言葉は『孟子』に由来していて、見た目だけで物事を判断するのではなく、その本質を見極めることの重要性を示しているよ。
『孟子』は中国の春秋時代の儒家の思想家、孟子(もうし)によって書かれた哲学的なテキストで、孔子の教えを受け継ぐ形で儒学の発展に大きく貢献した作品だね。この中で使われる「似て非なるもの」という表現は、表面的な類似性に惑わされずに、事物の真の価値や性質を見極めるべきだという教訓を含んでいるんだ。
この言葉は、人と人との関係だけでなく、さまざまな事象や物事に対しても適用される。たとえば、二つの政策が似ているように見えても、その実施する背景や目的が異なる場合や、二つの製品が見た目は同じでも品質や機能が全く異なる場合など、多くの場面でこの「似て非なるもの」という考え方が役立つんだよ。
「似て非なるもの」の使い方
でも、家にあった造花を友達が持って来てくれたから、代わりにそれを飾っておいたんだよ。
がっかりしちゃうわ。
「似て非なるもの」の例文
- パッと見ただけでは同じ様に立派な靴に見えるが、この二足は素材も作られた工程も全く違うため、似て非なるものというわけだ。
- この缶コーヒーは、甘くておいしい飲み物には違いありませんが、
普通の珈琲とは似て非なるものといえるでしょう。 - あなたの書いた文章は、確かにあの文豪の文体をうまく真似てはいますが、
本物の小説とは似て非なるものであって、読むに耐えない代物です。 - 先ほどあなたは「君が握った寿司は、君の親父の握った寿司とは似て非なるものだ。」という話をされましたが、正直わたしには、何が足りないのかわからないのです。