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【魚の水を離れたよう】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

魚の水を離れたよう

【ことわざ】
魚の水を離れたよう

【読み方】
うおのみずをはなれたよう

【意味】
頼みとする唯一のものを失い、能力を十分に発揮できなくなることのたとえ。水を離れた魚が自由に動けなくなる姿からいう。

ことわざ博士
「魚の水を離れたよう」は、単に慣れない場所にいるだけでなく、生き生きと動くための大切な支えを失った状態を表すよ。
助手ねこ
頼っていた人、得意な環境、必要な道具などを失い、力を出せなくなった場面で用いるニャン。

【英語】
・like a fish out of water(慣れない場所や合わない状況にいて、落ち着かず力を出せない)

【類義語】
・鵜の水離れ(うのみずばなれ)
・陸へ上がった河童(おかへあがったかっぱ)
・木から落ちた猿(きからおちたさる)

【対義語】
・魚の水を得たるが如し(うおのみずをえたるがごとし)
・水を得た魚のよう(みずをえたうおのよう)

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「魚の水を離れたよう」の語源・由来

ことわざを深掘り

「魚の水を離れたよう」は、魚が水から離れると自由に動けず、生きる力も弱まるという、身近で分かりやすい事実をもとにしたことわざです。水中でこそ本来の力を発揮する魚の姿を、人が大切な支えや環境を失った状態に重ねています。

この言い方には、「魚の水に離れたよう」という形もあります。こちらは、ただ一つの頼りを失って、どうすることもできないさまを表す言い方として示されています。

「水を離れた魚」という短い形も、同じ発想にもとづいています。水から出た魚のように、頼りを失って自由がきかないことを表し、「魚の水に離れたよう」と近い意味で使われます。

このたとえで大切なのは、魚そのものに力がないということではありません。魚は水の中ではすばやく動けますが、水を離れると、その力を発揮するための場所を失ってしまいます。そこから、人も自分に合った場や頼るべき支えを失うと、同じ人であっても力を出しにくくなる、という意味に結びつきました。

古い用例として、『平家物語(へいけものがたり)』(鎌倉時代前期ごろ成立、作者未詳)に近い形が出てきます。『平家物語』は、平安時代末期の治承・寿永の内乱を舞台に、平家一門の栄枯盛衰を描いた軍記物語です。

その本文には、「京中の人々は、ただ魚の水に離れたるに異ならず」とあります。これは、都の人々が魚の水から離れたような状態であった、という意味です。

この場面では、平家は西国へ移り、源頼朝は東国にあり、木曾義仲は都にいて、国じゅうが乱れています。公の貢ぎ物も私の年貢も都へ入らず、京の人々が暮らしの支えを失って苦しむ様子を、「魚の水に離れたる」とたとえています。

この用例では、魚が水を離れることが、単なる不自由ではなく、生活を支える根本を失うことのたとえになっています。都の人々は、食料や物資の流れを失い、世の乱れの中で安心して暮らす基盤を失っていたのです。

後の時代には、水の中で力を発揮する生き物が水を離れるたとえが、似た形で広がりました。「鵜の水離れ」は、水にすむ鵜が陸に上がったように、本来もつ能力を十分に発揮できないことを表し、江戸時代の『譬喩尽』(1786年)にも示されています。

また、「陸へ上がった河童」も、河童が水中では力を出せるのに、陸では無力になるという考えから、環境が変わると力のある者でもまったく無力になることを表します。これも、水や場所と能力との結びつきを示す近い表現です。

「木から落ちた猿」も、頼みにするものを失って、どうしてよいかわからないことのたとえです。猿にとって木が大切な居場所であるように、魚にとって水は欠かせない場であり、この点で「魚の水を離れたよう」とよく通じています。

反対の発想には、「魚の水を得たるが如し」があります。こちらは、離れることのできない親密な交情や、苦しい境地から脱して大いに活躍できるようになることを表します。

さらに「水を得た魚のよう」は、その人に合った場で生き生きと活躍するようすを表します。水を離れれば弱り、水を得れば力を発揮するという対比によって、「魚の水を離れたよう」の意味はいっそうはっきりします。

このように、「魚の水を離れたよう」は、魚と水という身近な関係から、人が頼りや居場所を失ったときの無力さを表すことわざとして受け継がれてきました。能力は本人だけで決まるのではなく、その力を生かす環境や支えがあってこそ働く、という教えを含んでいます。

「魚の水を離れたよう」の使い方

健太
サッカー部のキャプテンが転校してから、チームの調子がすっかり上がらないんだ。
ともこ
みんなの中心になって引っ張ってくれる人がいなくなっちゃったんだものね。健太くんたち、なんだか元気がなくて寂しそうだわ。
健太
うん、作戦を立てる人もいなくて、みんなグラウンドでどう動けばいいか迷っていて、まるで魚の水を離れたようだよ。
ともこ
まさにそんな状態ね!でも、いつまでも落ち込んでいられないから、みんなで話し合って新しい作戦を考えてみたらどうかな?
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「魚の水を離れたよう」の例文

例文
  • 長年支えてくれたコーチが退任し、選手たちは魚の水を離れたように動きが鈍くなった。
  • 使い慣れた道具を失った職人は、魚の水を離れたように仕事の勘を取り戻せなかった。
  • 母の助けに頼っていた弟は、入院中の母が家にいないだけで魚の水を離れたようになった。
  • 通い慣れた学校から転校したばかりの彼女は、魚の水を離れたように教室で言葉少ない様子だった。
  • 長年の相棒が引退してから、その司会者は魚の水を離れたように調子を崩した。
  • 通信環境を失った災害対策本部は、情報を集められず、魚の水を離れたような状態に陥った。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『平家物語』鎌倉時代前期ごろ成立。
・松葉軒東井編『譬喩尽』1786年。
・Merriam-Webster, Merriam-Webster.com Dictionary, Merriam-Webster Incorporated.





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