「窃鈇の疑い」の意味(出典・故事・類義語)
【ことわざ】
窃鈇の疑い
【読み方】
せっぷのうたがい
【意味】
証拠もないのに人を疑うこと。疑い始めるときりがないこと。
一回疑い出したら、どんどん疑いが増えていくってことやね。疑う前に、ちゃんと事実を確かめることが大事やな。
【出典】
「列子」
【故事】
斧をなくた人が、盗まれたと思い込み隣の子どもを疑った。すると一挙手一投足が怪しく思えてきた。ところが間もなく斧が見つかり疑う気持ちが晴れ、隣の子を見るとどこをどう見ても疑わしい点はなかったという故事から。
【類義語】
・疑心暗鬼を生ず
「窃鈇の疑い」の解説
「窃鈇の疑い」という言葉は、中国の古典「列子」に記された故事から来ている表現で、無根拠に人を疑い始めると、その人のどんな行動も疑わしく見えるようになる、という心理状態を表しているんだ。
この話では、斧を失くした人が隣の子供を疑い、その子供の振る舞いがすべて斧を盗んだように見え始めるという状況が描かれているんだ。しかし、実際には失くした斧が見つかり、子供が無実であることが明らかになると、もはやその子供に対して疑いの目を持たなくなるという展開になるんだね。
この故事は、人が一度誰かを疑い始めると、その疑いがどんな小さな証拠にも影響を与え、正常な判断を曇らせることがあるという心理状態を表しているんだ。これは、「疑心暗鬼を生ず」という言葉とも関連しており、疑いが深まると無実の行動さえも怪しいものと見えるようになる、という人間の心理を示しているんだよ。
「窃鈇の疑い」の使い方
「窃鈇の疑い」の例文
- 刑事の勘であっても、窃鈇の疑いはよくない。
- 窃鈇の疑いで友情にひびが入ることはあってはならない。
- 窃鈇の疑いをかけておいて、勘違いでしたと謝ってすむものか。
- 被害者は窃鈇の疑いで全員が犯人に思えてくると思うので、犯人探しに加わってはいけない。
- この場にいる人すべてが怪しく思え、窃鈇の疑いで気がおかしくなりそうだ。
これは、いったん疑い始めると止まらなくなって、どんどん疑いが広がっていく様子を言っているんだね。つまり、無闇に人を疑うと、終わりがなくなるという意味だよ。