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【捕らぬ狸の皮算用】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

捕らぬ狸の皮算用

【ことわざ】
捕らぬ狸の皮算用

【読み方】
とらぬたぬきのかわざんよう

【意味】
まだ手に入るかどうかわからないものを当てにして、利益や計画を都合よく考えることのたとえ。

ことわざ博士
捕らぬ狸の皮算用は、結果が決まる前に成功したつもりで見積もることを戒めることわざだよ。
助手ねこ
お金、点数、試合、契約、予定など、不確かな見込みをもとに先走る場面で用いるニャン。

【英語】
・Don’t count your chickens before they hatch.(卵がかえる前からひよこの数を数えるな)
・Catch the bear before you sell its skin.(皮を売る前に熊を捕らえよ)

【類義語】
・絵に描いた餅(えにかいたもち)
・画餅に帰す(がべいにきす)
・生まれぬ先の襁褓定め(うまれぬさきのむつきさだめ)

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「捕らぬ狸の皮算用」の語源・由来

ことわざを深掘り

「捕らぬ狸の皮算用」は、まだ狸を捕まえていないのに、その皮を売ればいくらになるかを先に計算する、という具体的な場面から生まれたことわざです。「算用」は、金銭の額や物の数量を計算すること、また見積もりを立てることを指します。そのため「皮算用」は、まだ手元にない狸の皮を材料にして、得られるはずの利益を先に数えるという意味合いをもっています。

狸の皮は、かつて蹈鞴(たたら)や鞴(ふいご)に使われ、毛は筆などにも用いられたため、狸を捕ることは金銭上の利益につながる場合がありました。しかし狸は簡単に捕まる動物とは考えられていませんでした。松葉でいぶしても抜け穴から逃げたり、鉄砲の音を聞くと死んだふりをしたりするなど、捕まえにくい動物として語られてきました。

このことわざの面白さは、狸の皮に価値があったことと、狸が捕まえにくいこととの組み合わせにあります。皮を売ればもうかるかもしれませんが、まず狸を捕まえなければ皮は手に入りません。そこを飛ばして利益だけを考えるところに、このことわざの戒めがあります。つまり、まだ確かな成果がないうちに、成功した後の計算ばかりする危うさを示しているのです。

表記には、「取らぬ狸の皮算用」「取ぬ狸の皮算用」などもあります。古い辞書類では「取ぬ狸の皮算用」の形で、まだ捕えないうちから狸の皮を売ることを考える意から、不確実な事柄に期待をかけて計画を立てることのたとえと示されています。現在の「捕らぬ狸の皮算用」は、「狸を捕まえる」という意味が表記の上ではっきり伝わる形です。

近代の用例では、里見弴『父親』(1920年)に「とらぬ狸の皮算用」の形が出てきます。そこでは、株の売買でまだ実現していない利益を先に数える文脈で使われており、現在の意味にかなり近い用法です。また、渋川玄耳『藪野椋十 日本と世界見物』(1918年)には「取らぬ狸(たぬき)の皮算用(かはさんよう)」という用例があり、里見弴の用例より早い近代の例として扱われています。

一方で、さらに古い段階の姿を考えるうえでは、明治前期のことわざ集『國民の品位 : 一名諺の一口話』(1891年、天野御民著)が重要です。この書物には口語形の「取らん狸の皮算用」が収められており、幕末以前から西日本で口伝えに使われていた可能性が高いと考えられています。書物に残る形が比較的新しい一方で、話し言葉としてはそれ以前から広まっていたと考えられる点が、このことわざの沿革を考えるうえで大切です。

また、「穴の貉(むじな)を値段する」という古い言い方との関係も語られてきました。これは、穴の中にいる貉をまだ捕まえていないのに値段をつける、という発想の言葉です。「捕らぬ狸の皮算用」は、このような日本の狩猟や毛皮の価値にかかわる生活感覚と結びつきながら、不確かな利益を先に当てにすることを戒める表現として定着したと考えられます。

英語にも、卵がかえる前にひよこの数を数えるな、という近いことわざがあります。こちらも、まだ実現していないよい結果を前提にして計画を立ててはいけないという意味です。動物や品物は違っても、「まだ手に入っていないものを、もう自分のもののように考えるな」という教えは共通しています。

このように「捕らぬ狸の皮算用」は、単に楽しい想像を禁じる言葉ではありません。見通しを立てることは大切ですが、確かな根拠がないまま利益や成功を決め込むと、判断を誤ることがあります。このことわざは、期待を持つことと、確かな事実にもとづいて考えることとの違いを、狸の皮という身近で分かりやすい比喩によって教えています。

「捕らぬ狸の皮算用」の使い方

健太
もし絵のコンクールで一位になったら、賞品の図書カードで宇宙の図鑑を三冊買うんだ。
ともこ
まだ作品も出していないのに、捕らぬ狸の皮算用になっているよ!
健太
たしかに……まずは今日の放課後に下絵を完成させないといけないね。
ともこ
うん。入賞のことを考えるのは、ていねいに色をぬってからでも遅くないよ。
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「捕らぬ狸の皮算用」の例文

例文
  • まだ試験の結果も出ていないのに、満点を取ったつもりで遊ぶ計画を立てるのは捕らぬ狸の皮算用だ。
  • 新商品が売れると決まったわけではないので、利益を先に使う話は捕らぬ狸の皮算用になりかねない。
  • 抽選に当たる前から賞金の使い道を決めるのは、まさに捕らぬ狸の皮算用だ。
  • 試合に勝ったつもりで祝勝会の準備を進めると、捕らぬ狸の皮算用と笑われても仕方がない。
  • 父は、契約が正式に決まるまでは捕らぬ狸の皮算用をしないほうがよいと言った。
  • 文化祭の売り上げを見込んで高い材料を買いすぎると、捕らぬ狸の皮算用で赤字になるおそれがある。

主な参考文献
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・天野御民『國民の品位 : 一名諺の一口話』赤川孫兵衛、1891年。
・渋川玄耳『藪野椋十 日本と世界見物』博文館、1918年。
・里見弴『父親』1920年。
・Cambridge University Press『Cambridge Academic Content Dictionary』Cambridge University Press。





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