「長者の万灯より貧者の一灯」の意味(出典・故事・類義語・英語訳)
【ことわざ】
長者の万灯より貧者の一灯
【読み方】
ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう
【意味】
金持ちが見栄をはって差し出す大量の寄進より、たとえわずかでも貧乏人が心を込めて捧げる寄進の方がまさっているということ。
ほんま、お金や物の多さじゃなくて、心が大事やってことやな。
【出典】
「阿闍世王受決経」の故事から。
【故事】
「阿闍世王受決経」から。阿闍世王は、招待したお釈迦様がお帰りになる時に、宮殿から祇園精舎沿いにたくさんの灯火をともしました。それを見た貧しい老婆がなんとかお金を工面しやっと一本の灯火をともします。阿闍世王の灯火が消えた後も、老婆がともした一本の灯火はずっと消えなかったというお話です。
【類義語】
貧女の一灯(ひんじょのいっとう)
【英語訳】
the widow’s mite.(貧者の一灯)
「長者の万灯より貧者の一灯」の解説
「長者の万灯より貧者の一灯」ということわざは、多くを持っている人がたくさんのものを寄付するよりも、貧しい人がわずかながらも心を込めて寄付する方が、その価値や功徳が大きいという意味を持っているんだ。
ここでの「長者」とは、お金持ちや富裕な人のことを指し、「万灯」とは多くの灯り、つまりたくさんの寄進や供養を意味する。一方で、「貧者」は貧しい人を指し、「一灯」とはたった一つの灯り、つまり少ないながらも心を込めた寄進を表しているんだ。
このことわざは、寄進や善行をするときに、その量や金額の多さよりも、行為に込められた真心や誠意の方がずっと重要であると教えている。たとえ少ないものであっても、それが全てのものや、その人にとって大切なものである場合、その寄進は心からのものとなり、その精神性が高く評価されるというわけだ。
この言葉は、形式や外見よりも内面の純粋さや誠実さが大切であるという教えを含んでおり、人間の行為や態度における真の価値は、外から見えるものではなく、心の中にあるということを示しているんだね。それは、貧富に関わらず、一人一人の行動が持つ意味や重さを考えるきっかけを与えてくれるんだ。
「長者の万灯より貧者の一灯」の使い方
「長者の万灯より貧者の一灯」の例文
- 長者の万灯より貧者の一灯といいます。御利益(ごりやく)は同じですので、お気持ちだけで結構です。
- お祝いのお花が沢山届いていますが、この小さな花は大変お世話なった方からです。失礼かもしれませんが、長者の万灯より貧者の一灯がうれしいですね。
- 被害が大きかったからといって、ただ多く支援物資を送っても迷惑になります。長者の万灯より貧者の一灯というように相手の気持ちになって何を送るか考えるべきでしょう。
- これこそ長者の万灯より貧者の一灯です。真心のこもった贈り物です。
つまり、物の量や金額よりも、その行いに込められた真心や意志が重要だと教えているんだ。