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【兎を見て犬を放つ】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

兎を見て犬を放つ

【故事成語】
兎を見て犬を放つ

【読み方】
うさぎをみていぬをはなつ

【意味】
手遅れに思えても、すぐに対策を講じれば、まだ間に合うことのたとえ。また、状況を見極めてから行動しても遅くないこと。事態が迫ってから慌てて動くという、手遅れの意味で用いる場合もある。

ことわざ博士
兎を見つけたあとで猟犬を放しても、捕らえる機会は残っているという考えを表すよ。
助手ねこ
失敗や問題に気づいたあと、あきらめずに改善へ取りかかる場面などに用いるニャン。

【英語】
・It is never too late to mend(過ちや悪い状態を改めるのに遅すぎることはない)
・Better late than never(遅れても、何もしないよりはよい)

【類義語】
・亡羊補牢(ぼうようほろう)
・兎を見て鷹を放つ(うさぎをみてたかをはなつ)

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「兎を見て犬を放つ」の故事

故事成語を深掘り

この故事成語のもとになった言葉は、中国・戦国時代の楚(そ)を舞台とする逸話に出てきます。楚は長江中流域を本拠とした大国でしたが、頃襄王(けいじょうおう)の時代には、強国の秦(しん)から激しく攻められていました。

この逸話を伝えるのは、『戦国策(せんごくさく)』(前漢末、劉向編)の「楚策四」です。『戦国策』は、戦国時代の弁士たちの言葉や、各国の政治・外交にまつわる話を、前漢の学者・劉向が国別に整理した書物です。

楚の臣下であった荘辛(そうしん)は、頃襄王が側近たちと遊び暮らし、国の政治を顧みないことを危ぶみました。そして、このままでは都の郢(えい)が危険に陥ると、王に厳しく忠告しました。

ところが、頃襄王は荘辛の言葉を受け入れず、年老いて判断を誤ったのではないかと問い返しました。荘辛は、いずれ自分の言葉どおりになると答え、楚を離れて趙(ちょう)の国へ移りました。

荘辛が去って五か月後、秦の軍は楚の鄢(えん)や郢などの土地を奪いました。頃襄王は城陽(じょうよう)へ逃れ、国が危機に陥って初めて、荘辛の忠告が正しかったことを悟りました。

王は使者を出して荘辛を呼び戻し、自分が忠告に従わなかったために、このような事態になったと認めました。そして、今から何をすればよいのかと尋ねました。

荘辛は、そこで「見兔而顧犬、未為晚也。亡羊而補牢、未為遲也」と述べました。兎を見つけてから猟犬を振り返っても、まだ遅くはなく、羊に逃げられてから囲いを直しても、まだ手遅れではない、という意味です。

この言葉の前には、「鄙語(ひご)」、つまり民間で使われる言葉であることを示す表現があります。そのため、荘辛がその場で作った言葉ではなく、当時すでに知られていたたとえを引用して王を励ましたものだと分かります。

荘辛は続けて、湯王(とうおう)や武王(ぶおう)は狭い領地から国を栄えさせた一方、桀王(けつおう)や紂王(ちゅうおう)は広大な天下をもちながら滅びたと説きました。楚にはまだ領土が残っているのだから、政治を改めれば立て直せると進言したのです。

頃襄王は荘辛の言葉を聞いて恐れ入り、これを受け入れました。そして、荘辛に地位と領地を与え、再び国政に用いました。この故事では、失敗した事実を嘆くだけでなく、気づいた時点から正しい行動を始めることの大切さが説かれています。

同じ逸話は、劉向が編んだ『新序(しんじょ)』(前漢)にも伝わっています。そこでは「亡羊而固牢、不為遅。見兔而呼狗、不為晩」とあり、「犬を顧みる」が「犬を呼ぶ」という、より具体的な狩猟の動作に置き換えられています。

日本語では、この「犬を呼ぶ」という形のほか、「犬を放つ」と表す形も使われています。「放つ」は、つないでいた猟犬を解き放ち、兎を追わせる動きを表しており、原文の狩猟場面を分かりやすく言い換えた表現です。

さらに、日本では猟犬を鷹に替えた「兎を見て鷹を放つ」という形も定着しました。『手摺昔木偶(てずりむかしにんぎょう)』(1813年・江戸時代後期)には、急いで事を進めたためにうまくいかないという、手遅れに近い意味で使われた例が出てきます。

そのため、この故事成語には、原典に沿った「今から行動しても間に合う」という前向きな意味と、「事態が迫ってから慌てて行動する」という否定的な意味の両方があります。現在では、失敗に気づいてもあきらめず、すぐに改めれば立て直せるという原典の意味で用いるのが基本です。

「兎を見て犬を放つ」の使い方

ともこ
学校の花壇のヒマワリがしおれているよ。昨日、水やりを忘れたから、もう助からないのかな…。
健太
まだ枯れてはいないよ。兎を見て犬を放つで、今すぐ水をやって日よけも作ろう!
ともこ
放課後に見たら、葉が少し元気になっていたよ。すぐに手当てしてよかった!
健太
間に合ってうれしいね! 失敗に気づいたら、あきらめずに動くことが大切なんだ。
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「兎を見て犬を放つ」の例文

例文
  • 模擬試験の結果が悪くても、兎を見て犬を放つで、弱点を直せば本番には間に合う。
  • 雨漏りを見つけてすぐ屋根を修理したのは、兎を見て犬を放つという適切な判断だった。
  • 売上げの低下に気づいて改善策を始めるなら、兎を見て犬を放つで、店を立て直す余地はある。
  • 苗がしおれ始めても、兎を見て犬を放つで、早く手当てすれば元気を取り戻すことがある。
  • 計画の誤りが分かった時点で見直したため、兎を見て犬を放つとなり、大きな損失を防げた。
  • 会議の直前になって資料を作り始めるのは、兎を見て犬を放つようなもので、かえって誤りを招きやすい。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・劉向編『戦国策』前漢末。
・劉向編『新序』前漢。
・Cambridge University Press, Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus.





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