「人事を尽くして天命を待つ」ということわざを聞いたことがありますか?
というような会話を耳にしたことがある方が結構たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、皆さんご存じかもしれませんが、「人事を尽くして天命を待つ」の意味や例文をご紹介します。
また、「人事を尽くして天命を待つ」に隠されたもう一つの深い意味についてもひも解いていきたいと思います。
「人事を尽くして天命を待つ」の意味
「人事を尽くして天命を待つ」の意味は、自分の全力をかけて努力した後は、運命を天に任せるということです。
「人事」は、人間の力でできる事柄、人間が行う事柄のことです。
「天命」は、天から与えられた使命、天あるいは天帝の命令のことです。
あらゆるできうる限りの努力をした後、焦らず静かに天の意思を待つ様子を言った言葉です。
結果がどうであれ、努力をした日々は無駄になることはないですよね。
長く続く人生の中で、必ず役に立つ日が来るものです。
努力をした結果、神様がほほ笑んでくれなくても後悔はない、素敵な言葉ですね。
「人事を尽くして天命を待つ」の類義語
有名な「人事を尽くして天命を待つ」には類義語がいくつかあります。
・人事を尽くして天命に聴いて可なり
・天は自ら助くるものを助く
・能事畢われり
できる限りの努力をしたうえで、その努力をする姿を空の上から見ているであろう神様に、最後の審判を委ねようという意味です。努力ありきの言葉です。
「人事を尽くして天命を待つ」の由来
さて、意味を再確認したところで由来を紹介します。
「人事を尽くして天命を待つ」は、中国の「胡寅」の「読史管見」に出てくる故事成語です。
「読史管見」は、古代中国の南宋初期の高名な儒学者「胡寅」が歴史書を私見として編纂したものです。その中に「淝水の戦い」について書かれた文章があり、「謝公、宗社の存亡を以て之を決す。人事を尽くして天命に聴す。」とあるのです。
これは、東晋の武将であった謝安が、攻めてきた敵軍を撃退したときの心境を「人事を尽くして天命に聴す」と表現したこという内容です。
このように、当時は「人事を尽くして天命を待つ」は、戦いに挑む武将の心の中を表現した言葉がもととなった言葉でした。今は、「最善の努力をする」や「ベストを尽くす」という意味で使われています。
「人事を尽くして天命を待つ」の例文
ここからは、「人事を尽くして天命を待つ」の例文を紹介します。
といった風に使われます。
「人事を尽くして天命を待つ」の奥が深いもう一つの意味
「運も実力のうち」と言ったりするように、最後は運が勝敗を分けたりすることもありますよね。
決勝戦に向けて、毎日練習をがんばり努力をしてきたのに、試合当日お腹を壊してしまった。そういう運が悪いことってありますよね。
受験合格のために、この日のために一生懸命勉強をしてきた。でも、試験会場に向かう途中で、電車で乗り合わせた人が体調を崩し、一緒に病院に行くことになって試験を受けることができなかったというような間が悪いこともあります。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉は、「ベストを尽くす」という意味だけではなく奥が深いもう一つの意味があります。
どんな結果が出ようともあなたが頑張った日々は、神様だけでなく、友人も家族も見ていたよ。
あなたがベストを尽くしたことはあなただけじゃなく、みんな知っているよ。
だから、もっと練習することができたんじゃないか、もっとやれることがあったんじゃないかと後悔をする必要はないよ。
あなたは本当に頑張った。この頑張りは必ずあなたのこの先に続く未来に生かされる。
あなたはこの経験を通して一回りも二回りも成長した。
そのことをあなたも私たちも知っている。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉には、今回失敗したとしても、いつかは大きな成功につながるだろうというエールが込められているのではないでしょうか。
夢や目標がある皆さん。言い訳ができないくらいに人事を尽くして天命を待ってみましょう。
きっと成功に近づくことができるでしょう。
万が一失敗という結果になったとしても、大丈夫。これだけ頑張ることができた自分を信じてもう一度頑張ってみましょう。
できるだけのことをして、前を向き続けるあなたのもとに、必ず栄光はやってきます。