【ことわざ】
家の高いより床の高いがよい
【読み方】
いえのたかいよりとこのたかいがよい
【意味】
家柄が高いことよりも、今の暮らし向きが豊かで実があることのほうがよいというたとえ。名目より実生活を重んじることをいう。


【類義語】
・家柄より芋茎(いえがらよりいもがら)
「家の高いより床の高いがよい」の語源・由来
「家の高いより床の高いがよい」は、「家」と「床」という住まいに関わる二つの言葉を、「高い」という同じ形で比べたことわざです。ここでいう「家の高い」は、建物の高さではなく、昔から続く家筋や家柄が高いことを指しています。
これに対して、「床の高い」は、家柄の名声よりも、今その人が栄え、暮らしに実りがあることを重く見る言い方です。生まれた家の名が立派であることよりも、実際に安心して生活できることのほうが望ましい、という価値の置き方が表されています。
この言葉は、『金言名句辞典 : 文士必携』(1928年・昭和3年、東京文学院編)に、「家の高いより、床の高いがよい」の形で収められています。同書では、昔からの家筋よりも、今その身が栄えていることのほうがよい、という趣旨で意味を示しています。
この説明から、昭和初期にはすでに、家柄の名声と現実の豊かさとを比べ、後者をよしとする言葉として掲げられていたことが分かります。由緒ある家の出であることだけでは、日々の暮らしの支えにはならないという、実際の生活に即した考え方が込められています。
同じ考えを表すことわざに、「家柄より芋茎(いえがらよりいもがら)」があります。芋茎(いもがら)は、里芋の茎を干した食べ物で、立派な家柄は食べられないが、芋茎なら腹の足しになる、という対比によって、家柄を誇るだけの態度を戒める言葉です。
「家柄より芋茎」の類として、「家の高いより床の高いがよい」が挙げられています。前者が食べられる物と家柄とを比べるのに対し、後者は「家」と「床」とを並べ、受け継いだ名声よりも、今の暮らしに役立つ豊かさを選ぶ形で、同じ道理を表しています。
「家」と「床」をともに「高い」と言いながら、その値打ちを逆転させているところも、このことわざの特色です。外から仰ぎ見られる家柄の高さよりも、内側の生活を支える実際の豊かさのほうが大切だと、短く印象深く言い表しています。
このように、「家の高いより床の高いがよい」は、名のある家に生まれたことを重んじる見方に対して、今の暮らしが栄え、実際に役立つ力を備えていることを選ぶことわざです。立派な名目よりも、確かな生活の中身を重く見る知恵が、この一言に込められています。
「家の高いより床の高いがよい」の使い方




「家の高いより床の高いがよい」の例文
- 家柄ばかりを誇る婿より、堅実に働く婿を望んだ母は、家の高いより床の高いがよいと語った。
- 名門の出であることにこだわる親に対し、娘は家の高いより床の高いがよいという考えを示した。
- 家の高いより床の高いがよいということわざには、家柄より暮らしの実を重んじる価値観が表れている。
- 昔の結婚観を扱う授業で、家の高いより床の高いがよいは、家筋と生活の豊かさを比べる言葉として紹介された。
- 没落した旧家を誇るだけの人物を見て、町の人々は家の高いより床の高いがよいと評した。
- 小説では、家柄より働きぶりを選ぶ場面に、家の高いより床の高いがよいという言葉が用いられていた。
主な参考文献
・集英社辞典編集部編『会話で使えることわざ辞典』集英社、1989年。
・東京文学院編『金言名句辞典 : 文士必携』東京文学院、1928年。























