【ことわざ】
家は弱かれ主は強かれ
【読み方】
いえはよわかれぬしはつよかれ
【意味】
家が貧しくても、その家の主人は心まで弱くならず、しっかりしていなければならないということ。


【英語】
・Even in poverty, the master should stay strong(貧しくても、家を支える人は強くあるべきだ)
・A poor house still needs a strong-hearted master(貧しい家でも、主は気丈であるべきだ)
・Though the house be poor, let the master be strong(家は貧しくても、主はしっかりしていなければならない)
【類義語】
・武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ)
・貧すれど鈍せず(ひんすれどどんせず)
・鷹は飢えても穂をつまず(たかはうえてもほをつまず)
【対義語】
・貧すれば鈍する(ひんすればどんする)
・衣食足りて礼節を知る(いしょくたりてれいせつをしる)
「家は弱かれ主は強かれ」の語源・由来
このことわざは、はっきりした一つの物語から広まったというより、昔の家の考え方をそのまま短く言い表した言葉です。まず「家」は、建物だけでなく、その家の暮らし向きや家計のありさまも含んでいます。
ここでいう「弱い」は、家が貧しいこと、暮らしが楽ではないことを指します。つまり、家そのものの勢いが弱くても、という前置きなのです。
一方の「主」は、その家を支える人です。昔の言い方なので、もともとは一家の主人を思わせますが、広く見れば、家をまとめる人、苦しいときに家の気持ちを支える人を言っています。
「強い」は、力が強いという意味だけではありません。気力を失わず、みっともなく心までくずさず、しっかり暮らしを立てようとする強さを表しています。
このことわざの形にある「弱かれ」「強かれ」は、今の会話ではあまり聞かない古い言い方です。ここでは、家は弱くてもよいが、主は強くあれ、という願いと戒めがこもっています。
そのため、このことわざは、貧しさそのものを笑う言葉ではありません。むしろ、苦しい暮らしの中で、いちばん失ってはいけないのは人の気力や気品だ、と教える言葉です。
昔の社会では、家の豊かさはいつも安定しているとはかぎりませんでした。作物の出来、不作、商いの浮き沈みなどで、家のようすはすぐに苦しくなることがあったのです。
そうした中で、家を支える人まで気持ちをくずしてしまえば、家全体が立ちゆかなくなります。だから、家が弱いときほど、主の心は強くあるべきだ、という考えが重く見られました。
この言い方は、名誉ばかりを守れという意味でもありません。見えを張ることより、苦しい中でも卑しくなりすぎず、家の中の人を安心させる態度を大切にしたところに、このことわざの味わいがあります。
近い考え方を持つ言葉に、貧しくても気概を失わないことをいうものがいくつかあります。そうした言葉と並べてみると、このことわざも、外の豊かさより内の強さを重んじる古い教えだと分かります。
今の社会では、家を支える役目を一人の主人だけに集めて考える時代ではありません。けれども、苦しいときほど心まで弱らせない、という教えは、今の家庭や仕事の場にも通じるものがあります。
だから家は弱かれ主は強かれは、昔の家の形を映したことわざでありながら、つらいときこそ人の心構えが大事だという知恵を、今にも伝えているのです。
「家は弱かれ主は強かれ」の使い方




「家は弱かれ主は強かれ」の例文
- 古い借家で暮らしていても父が胸を張って働く姿に、家は弱かれ主は強かれという言葉が重なった。
- 店の売り上げが落ちた月でも主人が弱音ばかり吐かないのは、家は弱かれ主は強かれの心があるからだ。
- 家計が苦しい冬に祖父が笑顔を絶やさなかったので、家は弱かれ主は強かれということわざを思い出した。
- 学園祭の模擬店が赤字でも代表の生徒が最後まで落ち着いて片づけを進める様子は、家は弱かれ主は強かれに通じる。
- 不景気で仕事が減ったときに社長がうろたえず社員を励ます姿は、家は弱かれ主は強かれと言うにふさわしい。
- 災害のあとで地域のまとめ役が気力を失わず動き続けた場面に、家は弱かれ主は強かれという言葉の重みがあった。























