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「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」の意味(語源由来・類義語・英語)
【ことわざ】
一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う
【読み方】
いっぴきのうまがくるえばせんびきのうまもくるう
【意味】
一人の行動が、他の大勢の行動を駆り立ててしまうことのたとえ。
群衆とは付和雷同(ふわらいどう)しやすいということ。
人間も同じで、ひとりが急にパニックになったら、他の人もそれに巻き込まれて混乱することがあるんやな。これは、自分の行動が他人にどれだけ影響するかを教えてくれる言葉やな。
【語源・由来】
一匹の馬が暴れると、つられて他の馬も暴れだすことから。
【類義語】
・一鶏鳴けば万鶏歌う(いっけいなけばばんけいうたう)
・一犬影に吠ゆれば百犬声に吠ゆ(いっけんかげにほゆればひゃっけんこえにほゆ)
・鴈がたてば鳩もたつ(がんがたてばはともたつ)
・鴨のとも立ち
【英語】
It one sheep leaps over the ditch, all the rest will follow.
「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」の解説
「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」っていうことわざはね、一人の人が変なことを始めると、周りの人たちもその人に引きずられて同じようなことを始めてしまうっていう現象を教えてくれるんだよ。
例えばね、クラスの中で一人の子が突然立ち上がって走り出したら、他の子もつられて立ち上がって走り出しちゃうかもしれないでしょ?それがまさに「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」ってことなんだよ。
「馬」っていうのはね、元々群れで行動する動物で、一匹が騒ぎ出すと他の馬もそれにつられて騒ぎ出すんだ。これを人間の行動に当てはめて、「一人が変な行動をすれば、他の大勢もそれに引きずられてしまう」ということを教えてくれるんだよ。
つまり、このことわざは、自分の行動が他人に大きな影響を与えること、また、他人の行動に簡単に引きずられないように注意しなければならない、ということを教えてくれているんだね。
「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」の使い方
「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」の例文
- 母が急にあんなことを始めたのは、近所の集まりが原因だと思う。一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂うことになってしまった。
- これほどの騒ぎになっているが、そもそもひとりの発言が発端だ。一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂うというだろう。
「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」を深掘り
「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」ということわざは、人々が集団内での行動や意見に影響されやすい、いわゆる「群集心理」を指摘するものです。このことわざの背景にある心理的メカニズムは、多くの心理学実験によって実際に確認されています。
例として、社会心理学者ソロモン・アシュが行った「アシュの同調実験」を取り上げると、彼は参加者に2つの図版を見せ、ある一つの線の長さを他の三つの線と比較させるシンプルな課題を出しました。
ところが、実際には参加者の中の大半は彼の協力者で、故意に間違った答えを出すよう指示されていました。この結果、真の参加者は正しい答えを知りながらも、多数の協力者の間違った答えに合わせることが多々見られました。
この実験は、人々が間違いであっても多数の意見や行動に同調する傾向があることを示しています。アシュ自身はこれを「多数派同調バイアス」と名付け、人は多数の意見や行動に無意識に流されがちであり、時にその流れが誤った方向へ導くことがあると指摘しました。
また、この同調の背景には「バンドワゴン効果」という心理的メカニズムも関与しています。これは多くの人たちがある行動や選択をしていると、自分も同じ行動や選択をしたくなるという現象で、特に新しい経験や選択の場面で顕著に見られます。
これらの心理学的な知見は、「一匹の馬が狂えば千匹の馬も狂う」ということわざが、私たちの日常の中での群集心理や同調行動を示していることを科学的に裏付けています。
しかし、そのような群集の中でも自らの意思を保ち、冷静な判断を下すことの大切さを忘れないよう心掛けることが、誤った方向に流されないための鍵となるでしょう。
参考文献
このことわざ、科学的に立証されているんです | 堀田 秀吾