【ことわざ】
いつまでもあると思うな親と金
【読み方】
いつまでもあるとおもうなおやとかね
【意味】
頼りとなる親も、持っている金も、いつまでもあるわけではないから、人に頼りすぎず、自立と倹約を心がけよという戒め。


【英語】
・It is too late to spare when the bottom is bare(財布の底が見えてから節約しても遅い)
【類義語】
・孝行のしたい時分に親はなし(こうこうのしたいじぶんにおやはなし)
・石に布団は着せられず(いしにふとんはきせられず)
【対義語】
・いつまでも無いと思うな運と災難(いつまでもないとおもうなうんとさいなん)
「いつまでもあると思うな親と金」の語源・由来
このことわざは、親と金という、身近で頼りにしやすいものを並べて、頼りきりの心を戒める言葉です。親はいつまでも面倒を見てくれる存在ではなく、金も使えばなくなるという事実を、短く強い形で表しています。
「親」と「金」は、どちらも暮らしを支えてくれる大切なものです。しかし、親の命には限りがあり、金も無限に残るものではありません。そのため、このことわざは、親への感謝を忘れないことと、金をむだにしないことを同時に教える表現として受け取られてきました。
形の上では、「いつまでもあると思うな親と金」の前半だけで広く用いられますが、「ないと思うな運と災難」と続ける形もあります。前半が「あるものを当たり前と思うな」と戒めるのに対し、後半は「ないものがこの先も来ないとは限らない」という見方を添え、人生への備えをさらに広く示す言い方になっています。
昭和22年刊行の『心に拠点(きょてん)を求めよ』(高神覚昇著)には、「いつまでもあると思ふな親と金」という昔の仮名遣いの形が出てきます。「思ふ」は今の「思う」に当たり、ここでは親への恩を忘れず、親が生きているうちに孝行することの大切さを語る場面で、このことわざが引かれています。
また、青森県南部地方の言い伝えを扱う資料では、『倉石村史(くらいしそんし)』下巻に収められた土地のことわざとして、「いつまでもあると思うな親と金」が掲げられています。これは、この言葉が書物の中だけでなく、地域の生活の中で覚えられ、親から子へ、年長者から若い世代へ伝えられる教訓として息づいていたことを示しています。
後の用例では、床柱に掛けられた短冊の言葉として「いつまでもあると思うな親と金、ないと思うな運と災難」と続けた形も出てきます。家の中に掲げる戒めとして扱われている点からも、このことわざが、日々の暮らしの中で自立と倹約を思い出させる言葉として定着してきたことがうかがえます。
現在では、親に甘え過ぎているときや、金を計画なく使っているときに、「いつまでもあると思うな親と金」と言います。親の助けも金も、今あるからといって将来まで続くとは限らないという、厳しいけれど大切な人生の知恵を、覚えやすい形で伝えていることわざです。
「いつまでもあると思うな親と金」の使い方




「いつまでもあると思うな親と金」の例文
- 大学生になった兄は、いつまでもあると思うな親と金を胸に、アルバイト代の使い道を見直した。
- 父の仕送りに頼りきっていた彼は、いつまでもあると思うな親と金という言葉で生活を改めた。
- 限られた貯金を遊びに使い続けるのは、いつまでもあると思うな親と金を忘れた行いだ。
- 祖母は、親に甘えてばかりの孫に、いつまでもあると思うな親と金と静かに言った。
- 店の売上がよい時ほど、いつまでもあると思うな親と金のつもりで無駄づかいを避けるべきだ。
- 家族の助けが当たり前ではないと気づき、いつまでもあると思うな親と金の重みを感じた。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『会話で使えることわざ辞典』集英社。
・高神覚昇『心に拠点を求めよ』青山書院、1947年。
・倉石村史編纂委員会編『倉石村史 下巻』倉石村、1989年。
・青森県史編さん民俗部会編『青森県史 民俗編 資料南部』青森県、2001年。
・John Ray『A Collection of English Proverbs』John Hayes、1678年。























