『楚辞』(そじ)は、中国戦国時代の楚地方で歌われた賦(ふ、韻文)の集大成で、全17巻から成り立っています。
主要な作品として屈原の『離騒』が知られており、南方を代表する古典文学として位置付けられています。
この楚辞は、北方の『詩経』に対して、南方的な風土や風俗、信仰などを背景にしており、抒情詩としての性格を持っています。
特に、ロマン主義的な要素や、世を憤る傾向の強い哀愁を帯びた内容が特徴として挙げられます。
屈原や宋玉らの天才的な詩人たちによって、『楚辞』は独自の詩形や内容で成立しました。その中でも、空想性や一句六言の活発なリズムが特色とされています。
さらに、詩が作者名とともに記録されるようになったのも、屈原の時代からのことです。
書物としての『楚辞』の成立は、前漢の劉向が編集したものとされ、彼が16巻を編纂しました。その後、後漢の王逸が自らの詩を追加して、総数17巻となりました。
この楚辞は、古い楚の祭祀歌を基にしつつ、神話や伝説的な要素を取り入れて、抒情詩として緊張感を持った内容が盛り込まれています。