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【悲しみは生別離より悲しきは莫し】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

悲しみは生別離より悲しきは莫し

【故事成語】
悲しみは生別離より悲しきは莫し

【読み方】
かなしみはせいべつりよりかなしきはなし

【意味】
人生で最も深い悲しみは、親しい人と生きながら別れることにある、という意味。

ことわざ博士
悲しみは生別離より悲しきは莫しは、死ではなく、互いに生きているのに会えなくなる別れのつらさを表すんだよ。
助手ねこ
家族、親友、恋人など、大切な人と離れ離れになり、再会が難しい深い悲しみを述べる場面で用いるニャン。

【英語】
・No sorrow is greater than the parting of the living.(生きながら別れることほど大きな悲しみはない)

【類義語】
・生き別れ(いきわかれ)
・四鳥の別れ(しちょうのわかれ)

【対義語】
・楽しみは新相知より楽しきは莫し(たのしみはしんそうちよりたのしきはなし)

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「悲しみは生別離より悲しきは莫し」の故事

故事成語を深掘り

「悲しみは生別離より悲しきは莫し」は、中国古典『楚辞(そじ)』の「九歌(きゅうか)」に収められた「少司命(しょうしめい)」の一節にもとづく表現です。『楚辞』は、戦国時代末ごろの楚(そ)の屈原の作品と、同じ系統の作風をもつ後人の作品を集めた書物です。

屈原は、中国戦国時代の楚の政治家・文人であり、『楚辞』の代表的な作者として知られています。後の時代には、前漢の劉向が屈原や後人の作を編集し、後漢の王逸が『楚辞章句』を著して注釈を加えました。

「九歌」は、『楚辞』の中でも、神々への祭りの歌として伝わる作品群です。その一つである「少司命」では、少司命という神が現れ、香草の香りや雲の旗などをともなう幻想的な場面が描かれています。

「少司命」の中には、「悲莫悲兮生別離,樂莫樂兮新相知」とあります。読み下しでは、「悲しきは生きながら別離より悲しきは莫く、楽しきは新しく相知るより楽しきは莫し」と読まれます。

この一節は、「悲しみの中で最も悲しいのは、生きながら別れること、楽しみの中で最も楽しいのは、新しく心を知り合うこと」という意味です。悲しみと楽しみを対にし、人と人との出会いと別れの重さを強く表しています。

ここでいう「生別離(せいべつり)」は、「生別」、つまり生き別れのことです。親しい人が亡くなったわけではないのに、遠く離れ、会うことが難しくなる別れを指します。

死別は、死によって二度と会えなくなる別れを指します。一方、生別離は、相手がこの世に生きているため、会いたい気持ちや消息を思う気持ちが残り続けるところに、独特のつらさがあります。

日本語の古い用例では、謡曲『谷行(たにかう)』(1546年ごろ・室町時代)に、「悲しみの。至りて悲しきは。生別離の心なり。中々死別ならば。かほどの歎きよもあらじ」とあります。これは、死別よりも生き別れの悲しみを深く見る考えが、日本の古典芸能の言葉にも取り入れられていたことを示します。

『谷行』の場面では、親子や師弟の別れのつらさが語られ、生きながら別れねばならない心の痛みが強調されています。ここでは、『楚辞』の一節に通じる考えが、具体的な人間の悲しみとして表されています。

「悲しみは生別離より悲しきは莫し」という形は、原文の「悲莫悲兮生別離」を、日本語で意味が伝わりやすい言い方にしたものです。「莫し」は「ない」という意味で、「これより悲しいものはない」と強く言い切っています。

この故事成語は、ただ別れを惜しむだけの言葉ではありません。大切な人が生きているからこそ、会いたい、知らせを聞きたい、もう一度顔を見たいという思いが続くことを表しています。

そのため、現在では、戦乱・遠方への移住・家庭の事情・長い離別などによって、大切な人と生きながら会えなくなる悲しみを述べるときに用いられます。古い祭りの歌から生まれた言葉でありながら、人と人とのつながりを大切に思う心は、今の時代にもそのまま通じます。

「悲しみは生別離より悲しきは莫し」の使い方

健太
隣のクラスの大樹くん、家の都合で遠い国へ行くんだって。しばらく住所も決まらなくて、連絡も取りにくいらしいよ。
ともこ
まだ元気でいると分かっているのに、会えなくなるのはつらいね……
健太
悲しみは生別離より悲しきは莫しってこういう気持ちのことなのかな?
ともこ
うん。でも今日の放課後に、みんなで手紙を書こう!また会える日まで、気持ちが届くようにしたいね。
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「悲しみは生別離より悲しきは莫し」の例文

例文
  • 戦争で祖父と祖母が離れ離れになった話を聞き、悲しみは生別離より悲しきは莫しという言葉が胸に迫った。
  • 親友が遠い国へ移り、いつ再会できるか分からない別れに、悲しみは生別離より悲しきは莫しと感じた。
  • 生きていると分かっていながら消息が途絶えた家族を思い、悲しみは生別離より悲しきは莫しと涙した。
  • 仕事の都合で幼い子と長く離れて暮らす父は、悲しみは生別離より悲しきは莫しという思いを抱えていた。
  • 災害で別々の土地へ避難した友人同士は、悲しみは生別離より悲しきは莫しと互いを案じ続けた。
  • 会いたくても会えない時間が長くなるほど、悲しみは生別離より悲しきは莫しという言葉の重みが分かる。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・屈原ほか『楚辞』前漢、劉向編。
・王逸『楚辞章句』後漢。
・佐成謙太郎著『謡曲大観』明治書院、1954年。
・David Hawkes, The Songs of the South: An Ancient Chinese Anthology of Poems by Qu Yuan and Other Poets, Penguin Books, 1985.





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