【故事成語】
羹に懲りて膾を吹く
【読み方】
あつものにこりてなますをふく
【意味】
たった一度の失敗に懲りて、必要以上に注意深くなることを表している。
注意深く・用心深くなるという意味から、“念には念を入れる”といった意味合いで使用するのは間違いである。
誤用例「スピーチで失敗しないように、羹に懲りて膾を吹くほど何度も見直して暗記した。」
誤用例「スピーチで失敗しないように、羹に懲りて膾を吹くほど何度も見直して暗記した。」
【語源・由来】
元々は中国由来の言葉であり、原文は「懲於羹而吹韲兮、何不變此志也」である。羮(野菜や肉を熱々に煮込んだ汁物)を食べたことにより火傷をしたことから、冷たくした膾(生肉や生魚を酢で和えたもの)でも用心深く吹いて冷ましてから食べる、そんな姿をたとえている。春秋戦国時代を代表する詩人とし有名であった屈原(くつげん)の詩であり、中国戦国時代の王国・楚にあった詩を集め、全17巻にも及ぶ詩集として有名な『楚辞』九章・惜誦編に収録されてある。
【類義語】
・黒犬に噛まれて赤犬に怖じる
・黒犬に噛まれて灰汁の垂れ滓に怖じる
・舟に懲りて輿を忌む
・蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる
・火傷火に怖じる
【対義語】
・焼け面火に懲りず
【英語】
・The burnt child dreads the fire.(火傷をした子供は火を怖がる)
・He that has been bitten by a serpent is afraid of a rope.(蛇に噛まれた者は縄を怖がる)
【スポンサーリンク】
「羹に懲りて膾を吹く」の使い方
となりの子犬見た?すっごく可愛かったー!!
ともこちゃん、犬好きなんだね。初めて知ったよ。
健太君は?
僕は昔犬に噛まれたことがあって、羹に懲りて膾を吹くって言葉のように、それ以来犬を見ると怖くなるんだ。
「羹に懲りて膾を吹く」の例文
- うちの飼い犬は爪切りに失敗したことで、羹に懲りて膾を吹くように足を触るだけで怒る。
- 羹に懲りて膾を吹くというが、いくらなんでも用心深すぎるのも如何なものか。
- 昨年自転車事故により、大けがをしたことで羹に懲りて膾を吹くといった注意深すぎるぐらいの安全運転をしている。
- 羹に懲りて膾を吹くというが、妹は幼少の頃ロウソクで火傷をしたことを切っ掛けに、火に関するものは極力扱わないようにしている。