犬は古来より様々な文化で大切な存在として扱われ、人間と共に暮らす家族の一員とされてきました。そのため、犬にまつわることわざや表現が世界各地に数多く存在しています。犬は人間に忠実であることや、友情・愛情に関する象徴としての役割が多く見られますが、各国の独特な文化や歴史の背景から、様々な意味を持つことわざが生まれています。
本記事では、世界各国の犬に関することわざを紹介し、それぞれの言葉が持つ意味や背景について解説していきます。英語圏の「Every dog has its day」、スペイン語圏の「Perro que ladra no muerde」、日本の「犬も歩けば棒に当たる」など、国や地域ごとに独特なことわざが存在し、それらが示す智慧や教訓を通じて、異文化への理解を深めることができます。
さあ、世界の犬に関することわざの旅に出かけましょう。多様な文化からの洞察を得ることで、私たち自身が成長し、新たな視点を持つことができるでしょう。この記事が、あなたの知識の幅を広げ、人間と犬が築いてきた歴史や関係性について考える機会となれば幸いです。
日本の犬のことわざは、「犬のことわざ・慣用句一覧」をご覧ください。
目次
中国の犬のことわざ
狗猪も余を食わず
人の道から外れた人間が食べ残したものは、犬や豚ですら食べないということから、恩知らずな人を蔑む語句。
狗尾続貂
つまらない者が、権力を使って高官になることを罵る言葉のこと。また、劣った者が優れた者のあとに続くこと。「貂」はテンの尾で飾った冠のこと。「今に冠に飾るテンの尾が足らなくなって、犬の尻尾で飾るようになるだろう」という意味、つまらない人物がコネで優遇されるという例え。
※中国のことわざ一覧はこちらをご覧ください。
韓国の犬のことわざ
一家の喧嘩は犬の喧嘩
身内同士の喧嘩は醜いということ。韓国語では、犬=軽蔑の代名詞であり、「犬の値段」(安物)とか「犬の夢」(無駄な夢)など、貶(おとし)める意味で使われることが多いです。
糞にまみれた犬が糠にまみれた犬を叱る
自分の非を省みずに他人を責め立てるということ。韓国でも「犬=糞」のイメージは強いようです。
前で尻尾を振る犬は後ろで踵を噛む
目の前では好意的に振舞っていても、油断できないという例え。確かにこういう人、いそうです。
モンゴルの犬のことわざ
疲れた犬にくっついた糞
踏んだり蹴ったりという例え。
犬の顔をした人には、鞍が手に入らない
感じの悪い人は手助けしてもらえないということ。
領主は裏切り者、犬は尾を振るもの
偉い人は平気で裏切るが、犬はいつでも信用できるパートナーであるという意味。
インドの犬のことわざ
犬のしっぽは12年間真っ直ぐなパイプに入れておいても真っ直ぐにはならない
幼いころの性格は、何年経っても変わらないという意味。
驢馬の肉と犬の牙
ロバの肉は食べられないし、犬の牙は使い物にならない、何の役にも立たないという意味。
※インドのことわざ一覧はこちらをご覧ください。
インドネシアの犬のことわざ
犬が象の尾に吠える
無力な庶民が権力者に楯突いてもかなわないという例え。
タイの犬のことわざ
犬に噛まれたら、噛み返すな
誰かに危害を加えられても、仕返しをするなという意味。悪意に悪意で応じると、ロクなことにならないということ。
イギリスの犬のことわざ
犬を愛さない者は紳士でありえない
それほど犬は愛すべき存在だということ。ヨーロッパの他の国々と違い、イギリスでは牧羊犬としてだけでなく、飼い犬としても重宝されていたため、「忠実な友人」として扱われています。
ドイツの犬のことわざ
犬が尾を振るのは主人より肉を思ってのこと
犬が主人に媚びを売るのは、エサがほしいだけ。慕ってくる者には何か魂胆があるという意味。
死んだ犬が噛みつくことはない
死んでしまったら、相手に何をされても噛みつくことはできない。死んだ者は後から生きている者の思うように利用されやすいということ。
イタリアの犬のことわざ
飼い主のために犬のご機嫌取り
大切な人に気に入られるために飼い犬にも気を遣うこと。
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スペインの犬のことわざ
犬は月に吠えるが、月はいつも輝いている
取るに足らない人がいくら騒いでも、大人物は決して動じないということ。
犬が喧嘩していれば、狼は羊を食べる
牧羊犬同士が喧嘩をしていたら、羊が狼に食べられてしまう。小さなことにとらわれて自分の役目を忘れると、大変なことになるという意味。
熱湯で火傷した犬は、冷たい水からも逃げる
手痛い失敗の後、必要以上に用心深くなって、無意味な心配をしてしまうこと。
ロシアの犬のことわざ
家の飼い犬同士の喧嘩によその犬は加わるな
他人の喧嘩に口を出すなという意味。
※ロシアのことわざ一覧はこちらをご覧ください。
アラブの犬のことわざ
繋がれた犬は獲物を獲らない
それなりの暮らしができれば、多少の不自由があっても不満を持たないという意味。
イランの犬のことわざ
犬もおのが主人の家では獅子になる
外では臆病な犬も自分の家では吠えて威張っている。人間は誰でも自分の家では偉そうに振る舞うということ。
アフリカの犬のことわざ
骨をくわえた犬は吠えない
いくら理屈をこねようとも、結局、利益にありついた者は文句を言わないという意味。
※アフリカのことわざ一覧はこちらをご覧ください。
マルタの犬のことわざ
犬を飼えば世話いらず
人間の子供と違って犬は世話する必要はないが、同じように愛してくれるという意味。